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お花ちゃんと熊太郎は笑顔がかわいいよね

「ペルセポネ? どうかしたか?」


 大声を出したわたしに、ハデスが驚いているね。


「約束していた事があったのに、すっかり忘れていたの。間に合うかな?」


「そうだったのか。では急いだ方がいい。タルタロスの事はわたしとヨシダさんに任せろ」


「うん。ありがとう。じゃあ、わたしは先に行くね?」


 空間移動で第三地区に着くと……

 ベリアルは、まだチョコレートフォンデュを食べているね。

 お腹がパンパンだよ。

 しかも身体中チョコレートまみれだし。


 ぐふふ。

 堪らないね。

 あのチョコレートを固めたらベリアルの形のチョコレートができたりして。


「お前……今、オレの形のチョコレートができるとか気持ち悪い事を考えてただろ」 


 ……!?

 ベリアルがわたしの考えている事を当てた!?

 ベリアルには心を聞く力があるの!?


「……どうして分かったの?」


「変態的な顔でチョコレートがついたオレの身体を見つめてるからだよ! この変態が!」


「……なんだ。それでか。でも……ちょっと……もう一回罵ってみてよ。罵られると興奮するんだよ」


「……!? やっぱり救いようがない、ど変態だな。お花ちゃんと熊太郎もぺるみには気をつけるんだぞ?」


 え?

 お花ちゃんと熊太郎?

 島から出て遊びに来てくれたんだね。


「二人ともチョコレートフォンデュは食べた?」


「はい。とてもおいしかったです。洞窟の外は素敵な事ばかりです」


 お花ちゃんが嬉しそうに話しているね。

 熊太郎は恥ずかしがりやさんみたいだからお花ちゃんの隣で微笑んでいるよ。


「あはは! 今日は『不思議な事ばかり』じゃないんだね」


「はい。チョコレートは素敵です。ふふ」


「このチョコレートはカカオっていう豆を何回も洗ってよく煎ってから何時間もすり潰すの。それを湯煎にかけながらまた練るの。それから砂糖を山ほど入れてまた練ると完成するんだよ?」


 まだ群馬にいた頃に学校の授業で作った事があるんだよね。


「おいしい物を作るのは大変ですね」


「ヴォジャノーイ族の皆が頑張ってくれているみたいだよ。気が遠くなるような作業だよね」


「そうですね。これからは感謝しながら食べないといけませんね」


「って……ベリアルは全然聞いていないね」


 一時間以上食べ続けているんじゃない?


「ふふ。本当にかわいいですね。わたし達の子も……早く卵から孵って一緒にチョコレートを食べられたら……」


「この楽しそうな声を聞いていたら今すぐにでも出てきたいはずだよ? でも……ちょっとだけ恥ずかしいのかもね」


「恥ずかしい?」


「それと……勇気かな?」


「勇気……確かに……タルタロスでは辛い音ばかり聞いてきて、洞窟ではずっと静かで。こちらに来てからは賑やかで……だから、この子はまだ見ぬ外の世界が怖いのかもしれません」


「毎日お花ちゃんと熊太郎が優しく話しかけてくれれば安心して卵から孵れるはずだよ。大好きなお父さんとお母さんが外の世界で楽しく暮らしていれば赤ちゃんも早く出てきたくなるよ」


「はい。この楽しさが伝わればすぐにでも卵から出てきますね」


 お花ちゃんが笑っているね。

 ずいぶん表情が明るくなったよ。

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