天界での秘密のお話(1)
おばあちゃんと吉田のおじいちゃんとハデスと四人で天界の隠し部屋に来ると……
「綺麗……」
神力の光の美しさに頭が、ぼんやりするね……
「それは違うぞ? あまり側に寄るな」
おばあちゃんが険しい顔になったね。
「おばあちゃん……?」
「この神力の光は強過ぎるんだ。磁石がくっつき合うみてぇに神力と神力とが引き付け合うんだ」
「……? それって危ないの?」
「一種の魅了の力みてぇなもんだ。いつか皆がこれを欲しがって戦になるかもしれねぇ」
「そんな……」
「だから、この神力の光は秘密になってるんだ。それに魅了されるだけじゃなく、この力を手に入れれば最強になれると勘違いするバカが現れる可能性もあるだろ?」
「……天界と冥界を浮遊させる力を誰かに奪われたら大変だね」
「ポセイドンの海もだぞ?」
「あ……忘れていたよ」
遥か昔は、空と冥府と海の三つを天界って呼んでいたんだったね。
「……ポセイドンは影が薄いんだなぁ」
これは悪口かな?
「……一応おばあちゃんの孫だよね?」
「ん? そうだったなぁ」
「おばあちゃんもポセイドンに怒っているの?」
「魚族長の事か?」
「……うん」
「ポセイドンも心の中じゃ魚族長に悪かったと思ってるんだ。でも、どうしたらいいか分からねぇんだなぁ」
「……おばあちゃん……今はハデスが……」
心を聞く力がある事を知られちゃうよ。
「大丈夫だ。ハデスちゃんは、ばあちゃんが心を聞いてる事を分かってるからなぁ」
「あ……さっきの洞窟での話を聞いていたから……?」
この感じだとハデスには知られてもいいみたいだね。
「ペルセポネは知っていたのだな」
ハデスがいつも通りに話しかけてきたけど、黙っていた事に怒っていないのかな?
「……うん。黙っていてごめんなさい」
「謝る事はない。わたしには聞かれて困るような野心は無いからな」
「野心? そっか。わたしも同じだよ? 口から出る言葉と思っている事が同じだから」
「ペルセポネ……これからはわたしも秘密を知る仲間だな」
「……うん。えへへ。ハデスに隠し事が無くなって嬉しいよ」
ハデスが微笑みながら髪を撫でてくれている。
幸せだな。
この幸せをずっと続けていかないと。
誰にも邪魔はさせないよ。
おばあちゃんもわたしも自殺してこの神力の光の一部になんてならないよ!
「とりあえず部屋から出よう。これ以上は危険だ」
おばあちゃんに促されて部屋を出ると……
薄暗く感じるね。
さっきの部屋がすごく明るかったからかな。
また、すぐにあの光を見たくなっているよ。
これがあの光の力?
天族を惹きつけるほどの強い力……
……?
どうしてあの光は天族を惹き寄せようとするの?
というよりは……
あの光に近づいたのはおばあちゃんだけなんじゃないかな?
かなり強い理性がないとあの神力の惹きつける力には抗えない。
だから、おばあちゃんはあの光を隠していた?
でもブラックドラゴンのおじいちゃんは浮遊島を創って神力を使って浮かばせていたんだよね。
あの光みたいに神力を溜めていた。
っていう事は、ブラックドラゴンのおじいちゃんはあの光の存在を知っていたんじゃ……
「おばあちゃん? 冥界に持っていった神力の光には魅了の力はないの?」
「ん? まあ、少量だしなぁ。問題はねぇだろう」
良かった。
少しなら平気なんだね。
少しなら大丈夫でも大量だと危ない……か。
たくさんの自害した天族の神力が混じりあっている事に関係しているのかな?




