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秘密が打ち明けられる時(8)

「話してくれて……ありがとう」


 おばあちゃんに抱きつくと身体が震えているのが伝わってくる。

 本気で自殺しようとしているんだね。

 あの戦を始めさせた罰を自ら受けるつもりなの?


「おばあちゃんは……わたしが天界の隠し部屋の光の秘密を知ったら、天界を守る為に自殺すると思ったの?」


 だから、わたしを自殺させない為に真実に近づく度に記憶を消していたの?

 

「……月海」


「確かに少し前のわたしなら……お母様やお父様のいる天界とハデスやケルベロスのいる冥界を守る為に自殺していたかもしれない。でも……今は違う。今のわたしは……皆に一緒に考えて欲しいってお願いするよ? だって、ハデスはわたしが自殺したら……あとを追うから。ハデスを守りたくて自殺しても、守りたかったハデスも自殺しちゃうんだよ。そんなの……もっともっと苦しいよ」


「……!」


「残された人の苦しみはわたしにも分かるよ? おばあちゃんが群馬で亡くなって……わたし……本当に……怖かった」


「怖かった?」


「辛かったし寂しかったし苦しかった。でも……一番大きかった感情は怖さだった」


「月海?」


「おばあちゃんがいなくなるなんて考えもしなかった。おばあちゃんはわたしの全てだった。二人きりの家族でいつも支え合っていたから。だから……一人になったら急に怖くなったの。息をするのも怖かった」


「そうか……」


「だから……もう二度と喪いたくない。二度と……だって……おばあちゃんの事が大好きだから!」


「……そうだぞ」


 ……え?

 この声は……


「吉田のおじいちゃん!?」


 いつからいたの?

 ハデスもいるよ……


晴太郎はれたろう……」


「お月ちゃん……」


 吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが見つめ合っている。

 心の中で話しているんだね。


「ペルセポネ……」


 ハデスが優しく抱きしめてくれたね。


「ハデス? どうしてここに……」


「あの後すぐにヨシダさんが冥界に来て……時が戻されたようだと教えてくれたのだ。ペルセポネがいない事に気づいて……もしかしたらタルタロスに行ったのかもと思い、ヨシダさんとタルタロスに行き父上の側付きだった者から話を聞いて……それで慌てて第三地区に来たのだ」


「……そうだったの」


「ベリアルが、聖女の眠っていた洞窟の話をしていたと教えてくれて……」


「そう……」


 ベリアルが。


「月海……ハデスちゃん……少しいいか?」


 おばあちゃんが真剣な顔をして話しかけてきたね。


「……うん」


「ばあちゃんは晴太郎はれたろうと天界に行ってくる。二人も行くか?」


「隠し部屋に行くの?」


「そうだ」


「……わたしも行きたいよ」


「そうか……よし。じゃあ……皆で行くか」


 自殺した天族の神力を吸収し続けてきた光……

 もし、この光を自殺した天族だけじゃなくて、生きている天族の神力も吸収するようにできたら?

 全部の天族で協力し合って少しずつ神力を集めたら誰も死なずに済むんじゃないかな?

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