秘密が打ち明けられる時(6)
「成功……?」
何も分からないよ。
何が成功するの?
「魂の融合だ」
おばあちゃんの顔が険しくなったね。
「融合?」
「融け合って一つになるって言った方が分かりやすいか?」
「わたしの魂とオケアノスの魂が一つになるっていう事?」
「どっちかがどっちかを消すんじゃなくて……そうだなぁ……月海にはなんとなく分かるんじゃねぇか?」
「……え?」
「ペルセポネと月海とルゥ……」
「……でも……月海にもルゥにも魂は無かったんだよね? あれ? ペルセポネにも魂は無かったって……」
「どうしてそんなに魂が無い赤ん坊がいるんだろうなぁ?」
「おばあちゃん?」
わたしに答えを導き出させようとしているのかな?
「どう思う?」
「それは……魂と身体が合わないから? あれ? 何が合わないんだろう? 強い魂と強い身体の組み合わせでもダメなんだよね?」
「こう考えてみろ。自害した天族の肉体は消滅して神力は隠し部屋に。じゃあ、魂は?」
「……? え? まさか……自害した魂が……新たに産まれる赤ちゃんの身体に入るの?」
「……自害する天族がいなくなったら?」
「赤ちゃんに入る魂が無くなる?」
「人間は人間で、魔族は魔族で同じように魂が入り込む。でも人間と魔族は自害は関係ねぇんだ。色んな理由で死んだ奴の魂は次に入る赤ん坊を探す。母親の身体の中の胎児を探すんだ」
「そこで身体と力が合わないと身体に入れない……?」
「それは少し違うなぁ。皆が身体に入りてぇだろ? 複数の魂が一度に身体に入り込むんだ」
「そんな……胎児に耐えられるの?」
「耐えられねぇ胎児は死産する。そして胎児に残れなかった魂は消滅するんだ」
「……え? 消滅?」
「完全に消えるって事だ。魂同士で消し合って最後に残った一つの魂が赤ん坊の身体の主になる。時々複数の魂が残る事もあるけどなぁ」
「……消し合う?」
「自分が生きる為に他の魂を吸収しようとするんだ。でも、上手くいかずに消しちまうんだけどなぁ。オケアノスが言った『成功』は……『ぺるみ』とオケアノスの魂が上手く融合しそうだって事だ」
「……自分が生きる為に他の魂を消すの?」
「そうだ」
「それだけ皆が生に執着するんだ。って言っても魂は無意識にそうしてるんだけどなぁ。生存本能とでも言うんか?」
「本能で……他人の魂を消すの?」
「月海の身体にもペルセポネにもルゥにも魂が無かった。それは……身体が……魂を消していたからだ」
「……え?」
「それを見た周りにいた魂達が身体に入る事をやめた。だから魂が無かったんだ」
「わたしの身体に魂が入り込むのを阻止する為に……入り込もうとする魂を消していた?」
「一人や二人じゃねぇ。百や二百くらいは消えただろう。皆がペルセポネや月海やルゥの身体が欲しかったんだ。強い身体がなぁ」
……そんな。




