秘密が打ち明けられる時(5)
「だから、ばあちゃんがその力を消したんだ」
力を消した?
「そんな事ができるの?」
「ああ。ばあちゃんには消滅の力があるからなぁ。クロノスの力は消せなかったけどなぁ」
「消滅の力? ベリス王の娘さんを赤ちゃんにした時に、わたしの血を消したのも消滅の力?」
「そうだなぁ」
「ゲイザー族長はベリス王に心を聞く力があった事を知ってたみてぇだなぁ」
「……ゲイザー族長の心を聞く力は消さないの?」
「ベリス王の力はかなり弱かったみてぇだから、力が無くなってもそれほど困らねぇだろうけどなぁ。ゲイザー族は……とくにゲイザー族長は、ばあちゃんよりも心を聞く力が優れている。かなり努力したんだろうなぁ。突然その力を消されたら今までの努力が無駄になっちまうだろ?」
「おばあちゃんは優しいんだね」
「この世界をずっと守ってくれたゲイザー族長に酷い事をしたくねぇからなぁ」
「おばあちゃん……」
「悪い知恵もついたみてぇだけど、まだまだかわいいもんだ」
「そっか……」
「それから……ベリス王はこんな話もしてたなぁ」
「え? どんな話?」
「ベリス族とイフリート族が人間みてぇな容姿なのは、遥か昔、子孫繁栄の実ができる前に、銀の髪に青い瞳の少女と交わったからだって……」
「……それは事実なの?」
銀の髪に青い瞳って……
オケアノスの子孫の容姿だよね?
「……ああ。事実だ。神力に何かしらの作用があったんだろうなぁ」
「何かしらの?」
「ばあちゃんにも分からねぇ事はあるんだぞ?」
「そうなの!?」
「そんなに驚くな。実際ばあちゃんにも分からねぇ事ばかりなんだ。どうしてコットス達やオケアノスがあの容姿で産まれたのかもよく分からねぇからなぁ。バニラちゃんと、月海の中のオケアノスはその答えに限りなく近づいたみてぇだけど……その導きだした答えが事実なのかは誰にも分からねぇからなぁ」
「そうなんだね……でも……魂の秘密は知っているんだよね?」
「そうだなぁ。魂は……うーん。なんて話せばいいんだろうなぁ。ペルセポネが産まれた時、オケアノスの魂を入れ込もうとしたら身体に拒否された。それは知ってるか?」
「うん……それでオケアノスの魂を落ち着かせる為に強い薬を処方できるファルズフが必要だったって吉田のおじいちゃんが言っていたよね」
「あぁ。そうだなぁ。でも、バニラちゃんはそれを否定した」
「……うん。他に理由があったみたいだね」
「元々オケアノスは優しい子だったからなぁ。ペルセポネの身体が拒絶するほどの悪い魂じゃなかったんだ。全部ウラノスの勘違いだったんだ」
「それって……?」
「身体と魂が合わなかった。それだけの事だ」
「でもオケアノスの魂は強くて、わたしも神力が無限に近くあるんだよね? 魂と身体の強さは合いそうだけど……」
「……オケアノスが言っていた。創り物で他に魂が無かったバニラちゃんとは違って、自分は魂があるぺるみの身体に入ったってなぁ。そして……一つになろうとしている。成功しようとしているとも言っていた」
成功?
何に?




