秘密が打ち明けられる時(2)
「……でも、もう天界には……」
悪い大天使は、いなくなったんだよね?
「ええ。そうよ。ペルセポネは本当に賢いわね。もう無理矢理自害させられる天族は現れないわ。まあ、ハデスちゃん辺りが気に入らない天族を自害に見せかけて何人かやるでしょうけど」
おばあちゃんの言う通りだね。
ハデスならやりそうだよ。
「数千年後……隠し部屋の神力が尽きたら天界はどうなるの?」
「ペルセポネは『天界がこの世界に落ちて、海に浮かんで魔族と人間と仲良く暮らしました』なんて考えているのかしら? それとも天界が『人間と魔族の世界』に落ちて粉々になって天族が滅びると?」
「……あり得ないよ。と言うよりは天族は空間移動ができるんだよ? 天界が粉々になったら……天族は人間と魔族を奴隷にしてこの世界を自分達の物にしようとするはずだよ」
「……本当にペルセポネは賢いわね。ザクロの実さえ食べなければ次期神はあなただったはずよ」
「おばあちゃん……ハデスは……どうなるの?」
「隠し部屋の神力を盗んだ事かしら」
「まさか……殺さないよね?」
「……殺すと言ったらどうするの? ハデスちゃんを自害させれば、かなりの神力を光に取り込めるわ」
「それは違うよ。ハデスは闇に近い力だからあの神力の光には入れられないはずだよ」
「ふふ。ペルセポネには敵わないわね。そうよ。ハデスちゃんの力はあの光の中には入れられないわ」
「おばあちゃん……わたしを試すのは、やめて? 本当の事を話してよ。……違うね。そうじゃない。おばあちゃんは……わたしに話したくない事があるんだよね」
「ペルセポネ……」
「数千年後……隠し部屋の光の力が尽きたら……わたしの無限に近い神力が必要になるんだよね?」
「……」
「おばあちゃん……おばあちゃんの気持ちを聞きたいよ」
「そんな事はさせない!」
「……おばあちゃん?」
「月海は死なせねぇ! ばあちゃんの全てだったんだ! 月海は……ばあちゃんの宝だ……月海……」
おばあちゃんが泣いている……
やっぱりおばあちゃんはわたしを大切に思ってくれていたんだね。
いつものおばあちゃんの話し方に戻ったよ。
「おばあちゃん……でもこのままだと神力が尽きるんだよね?」
「……大丈夫だ。ばあちゃんが……自害すればいいんだからなぁ」
「……え? おばあちゃん?」
「そうすればまた数千年浮遊できるだけの神力が溜まるだろう」
「おばあちゃん……? そんなのダメだよ!」
「月海を自害なんて絶対にさせねぇ。月海には……苦しい思いなんてさせたくねぇんだ」
「それは、わたしも同じだよ」
「……え?」
「わたしだって、おばあちゃんに苦しい思いをさせたくないよ」
「……月海」
「一緒に考えよう?」
「え?」
「おばあちゃんが一人で抱え込むなんてダメだよ?」
ずっと一人で悩んでいたはずだよ。




