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サプライズパーティーが始まる(6)

「ああ! 空から何か落ちてくるぞ!」

「本当だ。なんだあれは?」


 え?

 あぁそうか。

 冥界のケルベロスを知らない魔族達が騒いでいるんだね。

 ケルベロスは冥界の仕事が一区切りついたのかな?


「「「遅くなり申し訳ありません」」」


 冥界のケルベロスの三つの頭がお父さんに挨拶しているね。


「平気だよ? 忙しいのに来てくれてありがとう」


「いえ。ペルセポネ様のお父上の宴だというのにすっかり遅れてしまいまして。これは贈り物です。冥界のお酒でして、たぶん地上には無いはずです。シュワシュワとしたブドウ酒です。一年に五本ほどしか作れない物でして、今回は一本お持ちしました」


 シュワシュワとしたブドウ酒?

 飲んだ事が無いな。

 わたしは群馬にいた頃と合わせれば三十一歳だし、お酒を飲んでも良い年齢だよね?

 ……いや、天族のペルセポネとして産まれてからはもう数千年経っているよ。

 ひとくち飲んでみたいな。

 あれ?

 そういえば、ばあばはもうヴォジャノーイ族のお酒を飲んだのかな?


「セージ、はい。これはドラゴン族とヨータからだよ?」


 ブラックドラゴンのおじいちゃんとピーちゃんが大きい箱を持ってくる。

 ドラゴン族の皆もプレゼントを用意してくれたんだね。

 ピーちゃんも一緒に?

 嬉しいな。


「ありがとう。開けてもいいかな? あれ? ドラゴン王は?」


 確かに。

 ばあばは、まだ暴れていないみたいだね。


「あぁ……最近グンマで毎日のように飲み放題プランの宿に泊まっているからね。前みたいに暴れる事がなくなったんだけど……恋の話をつまみに飲みたがってね……今も、種族王達に……ほら、あれ」

 

 ブラックドラゴンのおじいちゃんの指の先を見ると、ヴォジャノーイ王とリヴァイアサン王とグリフォン王がからまれている。


 うーん。

 あの三人の恋の話か。

 かなり興味があるよ!

 わたしも混ぜてもらおう!


「待て! ぺるぺる! よく見ろ! あの王様達のお通夜みたいな顔を!」


 え?

 吉田のおじいちゃん?

 お通夜みたいな顔って?

 ……!

 確かに!

 全然楽しそうじゃないよ。

 楽しそうなのはばあばだけで、他の三人は魂が抜けそうな顔になっているよ!?


「あの三人に恋の話なんてあるはずねぇだろ? 無理矢理にでも絞り出して話せって脅迫されてるんだ。行ったら地獄を見るぞ!」


 うわあ……

 教えてもらえて助かったよ。

 あの席には近づかないでおこう。

 ……でも、助けてあげないとかわいそうだよね。

 誰かこの中で素敵な恋をしていそうな人は……

 いた!

 おあいちゃんと二兵衛さんはすごく素敵だよね!

 前ウェアウルフ王のお兄ちゃんと雪あんねぇもいつも仲良しだよ。


「ぺるぺる……ドラゴン王の望んでいる話はなぁ、ドロドロの禁断の恋の話とかだぞ?」


「ドロドロで禁断の恋?」


 それって、どんな話なんだろう?


「ぺるぺるにはとても聞かせられねぇなぁ」


 ……?

 よく分からないや。


「助けてあげないとかわいそうだね。お父さん、冥界のケルベロス、向こうで一緒に飲まない? このお酒があればあの三人を解放できるかも」


 せっかく来てくれたからケルベロスもひとくちだけでも一緒に……


「え? あの……あ! 忙しい……忙しかったんだ! 帰らないと! では失礼しました!」


 ケルベロス……逃げたね。

 でもこの状況なら仕方ないよね。

 あのテーブルに近寄るのは危険だよ。


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