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ベリス王とペルセポネ(5)

「早く早く! チョコレートフォンデュだぞ!?」


 ベリアルがつぶらな瞳をキラキラ輝かせているね。

 って……


「ええ!? チョコレートフォンデュ!?」


 あのチョコレートフォンデュ?

 うわあぁ!

 チョコレート好きとしては堪らないよ。

 やった事はないけど……

 

「何ですか? チョコレートフォンデュとは?」


 ベリス王は知らなかったんだね。


「すごいんだ! チョコレートが滝みたいに流れててそこにイチゴとかマシュマロとかをくぐらせて……早く早く! 第三地区に急ぐぞ!」


 ベリアルは初チョコレートフォンデュなんだね。

 わたしもだけど。

 かわいいな……

 すでにクチバシの周りにチョコレートがついているね。

 味見したのかな?

 パンみたいなかわいい翼には竹串を握っている。

 ぐふふ。

 超絶かわいくて堪らないよ。

 

 こうして第三地区に帰るとチョコレートの甘い匂いが島中に漂っている。

 ベリアルはご機嫌でイチゴにチョコレートをかけているね。


「ン? ペルセポネ……?」


 ソファーで寝ていたうさちゃんが目覚めたみたいだ。


「ふふ。ソファーが気に入ったみたいだね」


「フカフカデ、サイコウダ。トナリニ、スワッテ、ダッコ、シテクレ」


「うん。うさちゃんはホカホカだね……あれ?」


 うさちゃんのお腹の下に紙がある?

 なんだろう?

 ……?


『心を聞かれないように。うさちゃんの魔法石が砕けそうになっています。この手紙の意味が分からないのであれば、わたし達の記憶は消されたのですね。一番気をつけなければならないのはガイア様です。ぺるみ様……どうか信頼できる協力者を探してください。ガイア様は何度もぺるみ様の記憶を消しています。この手紙は気づかれぬように冥界に隠してください。また記憶を消されてもいいように。いつでも読み返せるように』


 この字は……

 契約書の書き方を習った時に何度も見た字だ。

 でも慌てて書いたみたいだよ。

 ベリス王……

 一体何がどうなっているの?



「ぺるみ……? どうかしたんか?」


 おばあちゃんが心配そうに話しかけてきたね。

 心を聞かれないようにしないと。


「ううん。ただ……冥界のケルベロスにもチョコレートフォンデュを食べさせてあげたいなって……」


「そうだなぁ。じゃあ、持って行ってやればいい」


「え? いいの?」


「いっぱいあるからなぁ。頑張ってるケルベロスに甘い物を差し入れてやれ」


「……うん」


「……オレモ、イク」


「え? うさちゃんも? でもずっとソファーに居たいんじゃない?」


「ペルセポネノ、ダッコガ、イチバンダ」


 ……今日はハデスの代わりにアカデミーでわたしを守るって言っていたのに、ソファーがもらえたから一日中第三地区で寝ていたよね?

 でも、そんなところもかわいいんだけどね。


「ほれ、チョコレートがかかったイチゴとマシュマロを入れといたからなぁ。行けるようならコットス達にも渡してくれ」


 おばあちゃんがバスケットを渡してくれたね。

 かなりの量が入っているみたいだ。

 ずっしり重いね。

 

「うわあぁ! ありがとう。ケルベロス達が大喜びしそうだね」


「そうだなぁ。皆甘い物が好きだからなぁ」


「じゃあ、いってきます」

 

 こうして、うさちゃんと一緒に冥界に来たけど……


「おいしい! 幸せです」

「ペルセポネ様……チョコレートは最高ですね!」

「旨い……疲れが吹き飛ぶようだ」


 ケルベロスの三つの頭が大喜びしているね。


 うーん。

 これはベリス王からの手紙……なんだよね?

 ここは冥界だからおばあちゃんには心を聞かれていないよね?

 確かにおばあちゃんは何回もわたしの記憶を消してはいるけど……

 わたしが知っている以外にも記憶を消されていたのかな?

 でもどうしてベリス王がそれを知っているの?

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