ベリス王とペルセポネ(4)
「余計な事を考えるなと……何度も言ったでしょう?」
……息が……苦しい……
おばあちゃん……?
あ……
わたしも……倒れ……
砂が……鼻と口に入り込んで……息が……
「ペルセポネ……これ以上真実に近づいたら……もう次はない……」
……おばあ……ちゃん?
「ペルセポネの記憶は消せない。余計な力を持って産まれてきたのね。全く……して……」
おばあちゃん……?
なに?
すごく……怖いよ。
「真実に……近づいたら……その先に待つのは……死……きっと……選ぶ……」
……苦しい……息が……できない……
「時を戻したら……記憶を消せるかしら……」
……?
時を……?
「……安心して……ベリス王の心を聞く力は消しておくわ。全く……ゲイザー族長といいベリス王といい……余計な知恵をつけたものね……けれど……ゲイザー族長は……」
……ダメだ……意識が……
こんなの……いつものおばあちゃんじゃ……
……あぁ。
目の前が……真っ暗……
「ペルセポネ……お願いよ……どうか……」
……?
おばあ……ちゃん……?
……?
あれ?
頭がぼーっとする?
確か……
そうだ。
幸せの島の家を掃除しようとして……
おかしいな……
疲れているのかな?
「ぺるみ様……」
あれ?
ベリス王……?
「大丈夫? 顔色が悪いよ?」
「……ぺるみ様も……お顔の色が……」
「少し休もうか。ガゼボに行こう?」
「あぁ……はい」
ガゼボに座るとベリス王がゆっくり話し始める。
「あの……今日は……市場には……」
「……気を遣ってくれているんだね。ありがとう」
「ご存知でしたか」
「うん。ジャック達の様子がおかしかったし……」
「処刑を……見に行かないのですか?」
「……皆は……見に行かない方がいいって言ってくれたの」
「……はい」
「でも……」
「でも?」
「わたしは行くよ」
「……え?」
「傷つくのは分かっているの。でも……わたしはこの世界を見守るって決めたから」
「ぺるみ様……」
「わたしも……お供します。これからも人間相手に商売を続けるつもりですから」
「……うん」
「……え?」
「……? ベリス王?」
「え? あ……いえ。(力が……消えた?)」
ん?
何か消えたのかな?
「どうかしたの?」
「ああ……いえ……では……少しだけ休んでリコリス王国に行きましょう」
「……? うん」
少し様子がおかしいけど……
大丈夫かな?
「ぺるみ!」
あれ?
ベリアル?
「ここにいたんだな。おやつの時間だぞ?」
おやつの時間……?
もうそんな時間?
まだ二時くらいじゃないの?
「……ベリアル?」
「ん? 何だ?」
「あ……いや……そっか」
頭がぼーっとするのは……誰かに記憶を消されたのかな?
それとも……時間を戻されたのかも。
深く考えたらダメだね……
きっとわたしが知ったらダメな事があったんだ。




