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ベリス王とペルセポネ(3)

「それって……?」


 人間に近い姿?


「遥か昔……銀の髪に青い瞳の少女がベリス族のパートナーとなり、子を何人か産み、その子達が十数年後にベリス族と交わりまた子を授かりました。不思議な事にその子達の血を受け継ぐ者は皆、今のような人間に近い姿だったらしいのです」


「え? 銀の髪に青い瞳……? オケアノスの……子孫?」


「たぶん……イフリート族にも……天界の血が混じっているはずです」


「……!? それって……本当なの?」


「娘の病を治す為に色々と調べ回りました。……普通の人間と魔族との間に授かった子は獣のような魔族の姿……もしくは魔力を持った人間に。そして……神力を持つ人間との間に授かった子は人間に近い……我らベリス族にあるような角を持つ魔族の姿に産まれてきた事実に辿り着いたのです」


「天界の血が混じると人間に近い姿の魔族が産まれる? でも……今でも魔力を使える人間がいるよね? その人間達は魔族じゃなくて人間なんだよね? 何が違うの? 確かにベリス族とイフリート族には角みたいな物があるけど……人間との容姿的な違いはそれくらいだよね?」


「遥か昔の事過ぎて……わたしが調べた事もどこまでが真実かは分かりません。ですがその頃はまだ魔族と人間が今よりは仲良く暮らしていたのではないでしょうか。だんだんと人間と魔族が仲違いするようになるとそこからは容姿で人間か魔族かを判断するようになったのかもしれません。もしくは……人間を食べるかどうかで……」


 なるほど……

 確かに、遥か昔の事だから今の話のどこまでが真実かは誰にも分からないよね。

 ……いや、違うね。

 この世界を守ってきた初めからいた皆なら知っているかも。

 でも……

 あまり詳しくは話してくれないんだよね。

 ゲイザー族長も色々話してはくれるけど全部を話してくれている感じじゃないし……


「じゃあ……オケアノスは……どうして魔族みたいな姿で産まれてきたの?」


「はい。そこが不思議なのです。両親ともに天族のオケアノス様がなぜ魔族の姿で産まれてきたのか……そしてオケアノス様の子孫である神力を持つ娘や孫、ひ孫達は皆美しい容姿で産まれ、その娘達と交わった魔族の子は美しく、人間に近い姿で産まれた」


「……ベリス王……どうしてその話をわたしにしたの?」


「……わたしは近いうちに記憶を消されるでしょう」


「……え?」


「そうなる前に……話しておきたかったのです」


「ベリス王?」


「昨日……ぺるみ様が倒れて寝込んでいる時に広場でバニラ様から話を聞いて……辻褄があったのです……ぺるみ様は……記憶を他人から消されないのですよね?」


「……どうして……それを……」


「……わたしにも……少しだけ他人の心を聞く力が……ですが、それは誰にも気づかれていません。ほんの少し聞こえてくるだけですので。見つめ合った者の気持ちの一部が少しだけ流れ込んでくるのです。ですが……なぜか家族には使えなくて。そういえばゲイザー族長だけは気づいていたようですが……他言はしなかったようですね」


「ベリス王?」


「今のこの話を……ガイア様とバニラ様が聞いているはずです」


「……分かっているのにどうして話したの?」


「……わたしの……心を聞く力はガイア様に消されるでしょう。その前に……ぺるみ様……」


「……うん?」


「うさちゃんを……助けてください」


「……え?」


「うさちゃんは娘の恩人です」


「……ベリス王?」


「うさちゃんの魔法石が砕けそうに……」


「え?」


 ……!?

 ベリス王が倒れた!?

 まさか……

 誰かが……


「ぺるみ……」


 ……おばあちゃん?

 いつの間に……


「ばあちゃんは……ぺるみを殺したくねぇんだ。分かるな?」


 ……なに?

 いつものおばあちゃんと違う?

 空気がピリピリ振動している……

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