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かわいいヒヨコの姿だから何をしてもかわいく見えるのは仕方ないのか?

今回はベリアルが主役です。

 うぅ……

 水の魔法石で浮かんでいるけど全然前に進まないよ。

 この細長いパンみたいな翼じゃ全然ダメだ。

 

「ベリアル! もっと水かきを使うんだ!」


 人魚が五メートル位先で叫んでるけど……

 オレに水かきがあるはずないだろ?

 うぅ……

 足だって水鳥じゃないから全然ダメだし。

 

 ……ジャバウォックは、まだばあちゃんとおやつを食べてるんだな。

 うさちゃんはソファーから動かないし。

 でも、あの二人もなんだかんだで苦労してるみたいだな。

 ジャバウォックも昔何かあったみたいだし。

 オレだけが不幸だと思ってたけど皆が大変な過去を乗り越えてきたんだ。

 

 いつまでも甘えていられないよ。

 頑張らないと。

 少しでもぺるみの力になりたいんだ。


「……」


 って全然前に進んでないぞ!

 赤ちゃんが水遊びしてるんじゃないんだから……

 これじゃただのかわいいヒヨコが水遊びしてるだけだろ!

 

 ……!?

 何だ?

 今すごく嫌な予感が……

 後ろを……見たらダメだ……

 背後から強烈な変態の気配がする……

 怖い……

 怖いよ……


「ぐふふ。んもう……ベリアルってば超絶かわいいんだから」


 ……!?

 ぺるみの声!?

 まだアカデミーは終わらない時間だよな?

 どうして帰ってきてるんだ!?

 ゆっくり振り返ると波打ち際にぺるみの姿が見える。

 ……って言うより……オレはこんな波打ち際でずっとバシャバシャしてたのか。

 全然前に進んでないじゃないか。


「ぺ……ぺるみ……アカデミーは?」


「ん? なんか今日は午後が休講になったの。だから、早く帰れたんだよ?」


「午後が休講? 昨日はそんな話をしてなかっただろ?」


「うーん。前の席のジャックも様子がおかしかったし……何かあるのかもしれないけど……」


「お前の事だから何も訊かなかったんだな」


「……うん。人間の問題だからね」


「そうか……」


「ベリアルは何をしているの?」


「う……それは……」


「ぐふふ。かわいいヒヨコちゃんが波打ち際でパシャパシャしているなんて……堪らないね」


「……お前は本当に変態だな」


「ぐふふ。かわいい。ぐふふ。かわいい」


「……なんでオレはこんな奴の為に」


「ん?」


「なんでもない!」


「ぐふふ。怒るヒヨコちゃんも激かわだよ」


「うぅ……変態ぺるみ……あっ!」


 ぺるみがニヤニヤ笑いながらオレの頭を撫で始めた……?

 温かい手だな。

 小さくてかわいい手だ。

 甘い匂い……

 ぺるみはいつもかわいいけど笑うともっとかわいいな……

 

「あれ? ベリアル……身体が冷たくなっているよ?」


「ん? そうか?」


 あぁ……

 撫でるのをやめちゃったな。

 もう少し撫でて欲しかったのに……


「温泉の島に行こうか」


「温泉の島? 確かに……身体が冷えたからな」


「じゃあ、このまま行こうか」


「ぺるみは制服を脱がないとだろ? 汚したら大変だからな」


「……!? しっかりしたヒヨコちゃん……ぐふふ。堪らないね」


「……! こいつ……気持ち悪……」


「じゃあ、着替えたら出発だからね」


「オレはもう少し泳ぐからゆっくりでいいぞ?」


「ふふ。うん。分かった。無理だけはしないでね?」


「……?」


 ぺるみはオレが波打ち際で水遊びしてると思ってたんじゃないのか?

 鍛錬をしているのを知ってたみたいだな。


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