サプライズパーティーが始まる(5)
「ぺるみ! ケーキはまだ食べないのか?」
ベリアルがヒヨコちゃんのケーキを食べたくてソワソワしているね。
つぶらな瞳がキラキラに輝いてかわいいよ。
「じゃあ、ロウソクに火をつけようか」
この数日で、もう一度力が使えるように精霊と契約しなおしてきたんだよね。
精霊の皆はわたしが天族だったって知っても喜んで契約してくれたんだ。
その時、水の精霊のネーレウスのおじいちゃんの本物が、ポセイドンとは別にいた事が分かった。
ネーレウスの娘さんとポセイドンとの間に子供がいて、それが魚族長だったんだって。
魚族長が幼い頃にポセイドンに捨てられた時、偶然見つけて育ててくれた白いイルカがいるんだけど、そのイルカはポセイドンが創りだしたらしい。
と言っても魚族長を育てる為じゃなくて、娘さんは妊娠する前にポセイドンとの事を心配したネーレウスに閉じ込められていたらしいんだ。
ポセイドンはその娘さんに会う為にイルカを創りだしたらしい。
イルカは広い海で偶然、捨てられた魚族長に出会って育て始めたって話にはなっているけど……
本物のネーレウスがそうなるようにしたのかもしれないね。
娘さんを愛していたみたいだし。
孫である魚族長の事もそっと見守っていたのかも。
いくら魚族長が強くても危ない事もたくさんあっただろうし……
「オレがやる! オレがつける!」
ふふふ。
ベリアルは張り切っちゃってかわいいなぁ。
「ケーキを燃やさないように気をつけて……と。よし、ついた!」
ベリアルの神力は火を操れるからね。
あっという間に全部ついたね。
もしお父様が数千本のロウソクに火をつけて欲しいって言ったらベリアルにお願いしようかな。
すごく楽しそうに火をつけていたし。
「うわぁ! かわいいケーキだね。る……ぺるみが作ったの?」
「うん! ベリアルがモデルになってくれたんだよ。お父さん……月海って呼んでも大丈夫だよ?」
「あぁ……うん。じゃあ、今日だけは月海って呼ぶね?」
「うん。ロウソクを全部消せたら願いが叶うんだって」
「そうなんだね。願い事か……」
「ああ! ロウがケーキに落ちちゃうよ! 魔王! 急いでくれ! ヒヨコちゃんが危ない!」
ベリアル!?
ヒヨコちゃんが危ないって!?
くぅぅ!
かわい過ぎるでしょ。
「え? 大変だ! フゥゥ」
お父さんが慌てて吹き消したけどお願い事はできたのかな?
「おお! 星治がロウソクの火を全部消したぞ! そぉれ、じいちゃんが祝いの裸踊りをしてやるからなぁ! あははは」
あぁ……
ついに始まったか。
まぁ、勝手に踊っていてもらおう。
「お父さん、お願い事はできた?」
「うん。ちゃんとできたよ? 皆といつまでも楽しく仲良く過ごせますようにってね」
「……お父さん、そうだね。きっと叶うよ」
「月海……ありがとう」
「うん。わたしこそ、ありがとう」
嬉しいよ。
こんな風にお父さんの誕生日を祝えるなんて。
視界に裸踊りをしている吉田のおじいちゃんが入り込んでくるけど……
気にしないでおこう。