ゴンザレスと二人で話すのは楽しいね
ゴンザレスと二人での登校は初めてだね。
「あれ? ペリドット様? 今日はヒヨコ様はお休みですか?」
前の席のジャックが尋ねてきたよ。
「うん。なんか……わたしが朝から吸い過ぎちゃったみたいで」
「あはは。ご機嫌斜めなんですか?」
「うーん……ぐったりしていたんだけどチョコレートを食べたら元気になっていたよ」
「そうですか。それなら安心ですね」
「うん。今日は王子達もお休みみたいなの」
「……あの。魔術科の学生から聞いたんですけど……昨日、市場のクッキー屋さんのジャックを助けて血を吐いたって……大丈夫ですか?」
「え? わたし? うん。大丈夫だよ? 寝て起きるとだいたい治っているから」
本当はピーちゃんに治してもらったけどそんな事は言えないからね。
「……神様から授かった身体でも無理はダメですよ? オレは心配なんです……今日も……あ、いや……」
「……? ジャック?」
「今日は……アカデミーが終わったらすぐに黄金の国ニホンに帰ってください」
「え?」
「あの……その方がいいです」
「……? ジャック?」
なんだか様子がおかしいね。
どうしたのかな?
「あ、先生が来ましたね。ペリドット様、約束してください。今日はすぐに帰ってくださいね?」
「……? でも、市場のジャックに会いに行きたくて……」
「今日は市場には出入りしないでください。できれば明日も……お願いです」
「……ジャック?」
「さあ、皆さん講義を始めますよ?」
先生が講義を始めるとジャックが話をやめたね。
今日は市場で何かあるのかな?
(……ぺるみ様、講義をきちんと聞かないと)
ゴンザレス……
ジャックの様子がおかしいんだけど。
(……ジャックの優しさを受け入れましょう)
……え?
(さあ。講義が始まりましたよ?)
あぁ……
うん。
そうだね。
しっかり勉強しないと。
(……え?)
ん?
ゴンザレス?
どうかしたの?
(なるほど、なるほど。あの席のジャックは向こうの席のあの娘が好きなんですね)
ええ!?
どの席のジャックがどの子を好きなの!?
(おや? 先生は昨夜……ふふ……なるほど)
ええ!?
なになに?
どうしたの!?
(ふふふ。知りたいですか?)
うん!
知りたいよ!
(では……まず、あの席のジャックが……)
え?
そうなの?
(はい。それから、あの席の……)
え!?
そうだったの!?
(はい。ちなみに、隣のクラスのジャック先生は……)
ええ!?
そうだったの!?
(ふふふ。ぺるみ様はもっと知りたいですか?)
知りたい!
もっと教えて?
(仕方ないですねぇ。では……)
ええ!?
それから?
おお!
そうなの?
(あぁ……たくさん話せて幸せです。普段はベリアルのお世話で忙しいですから)
あはは。
そうなんだね。
どんなお世話をしているの?
(一緒にお菓子を食べたりバスケットで眠ったりしています)
ん?
それはお世話なのかな?
(はい。ベリアルはかわいい弟みたいなんです)
ふふ。
ベリアルは、ゴンザレスのお兄さんだと思っているみたいだけどね。
(ははは。ベリアルの方が赤ちゃんですよ)
二人は仲良しなんだね。




