サプライズパーティーが始まる(4)
「あぁ……あのね? お父さん……わたしからもプレゼントがあるの」
こんなに立派なプレゼントの後だから恥ずかしいよ。
一番に渡せば良かったな。
「月海……ぺるみも? 嬉しいよ。お父さんは……涙が止まらないよ……うぅ……」
「お父さんは魔王だから……着ないかもしれないけど、これね? おばあちゃん達に教えてもらって……あの……」
あぁ……
いらないって言われたらどうしよう。
「見てもいい?」
「……うん。皆の後だから恥ずかしいよ。先に渡せば良かったな……」
「これ……浴衣?」
「うん。あとね? これも……」
「……? あぁ……なんて事だ。これは……」
「肩たたき券……憧れていたの。他の集落に住んでいた友達はお父さんもお母さんもいたから……母の日とか父の日とかに肩たたき券を渡していて……だから……でも、いらなかったかな?」
小さい子みたいで恥ずかしいよ。
「お父さんも……ずっと欲しかったよ。月海……寂しい思いをさせてごめんね。これからは、絶対に寂しい思いなんてさせないからね?」
「……うん。うん。嬉しいよ。お父さん、誕生日おめでとう」
ダメだ。
泣いちゃった。
泣かないって決めていたのに。
「さっそく着ないと!」
「え? お父さん!?」
「ちょっと着替えてくるね」
「今じゃなくても……お父さん!」
行っちゃった。
おばあちゃんの家で着替えてくるのかな?
「あ! 帯は無いんだった。どうしよう」
浴衣しかプレゼントしていないんだった。
「そうか、そうか。じゃあ、じいちゃんの出番だなぁ。じいちゃんの帯を貸してやろうなぁ。星治、じいちゃんの家で着替えようなぁ」
良かった。
助かったよ。
ありがとう、おじいちゃん。
わたしの心の声が聞こえたかな?
「ぺるみ様……もしかして……我々はぺるみ様と同じ物を贈ってしまいましたか?」
魚族長が申し訳なさそうにしているね。
「違うよ? マントは羽織る物でしょう? 浴衣は着る物だから、同じ物じゃないよ?」
「そうですか。良かった。やっと誕生日を祝えたのに我々が同じ贈り物をしてしまったのかと……ユカタとはマントのように長いのですね」
「うん。村のお祭りに行く時には皆、浴衣を着たんだよ?」
「ムラのお祭り……ですか?」
「うん。集落にはお祭りが無くてね? でも村では役場がある集落で一年に一度屋台が出たり、盆踊りをしたり。あと夜になると花火大会があったんだ」
「……知らない言葉がたくさん出てきて、難しいですが、とても楽しい宴という事は分かりました。そうだ! 今度ムラのお祭りという宴を開きませんか?」
「そりゃいいなぁ! なぁ、星治」
吉田のおじいちゃん?
もうお父さんは浴衣を着たの?
そしておじいちゃんは服を脱いできたんだね。
あ……よく見たら
ふんどしは着けているね。
お父さんに裸はダメだって怒られたのかな?
本当に隙さえあれば裸になりたがるんだから。
そういえば、『王様が裸になってハックショイ記念日の宴』だっけ?
確か人間の国で記念日に制定されたんだよね。
本当に開催されるのかな……
心の底から嫌な予感しかしないんだけど……