うさちゃんは、どうしちゃったのかな?
「アレハ、スゴカッタ。キョウハ、アノ、ソファーデ、ネタイ」
うさちゃんは、ベリス王国にあったソファーが欲しいんだね。
「じゃあ、ベリス王にお願いして売ってもらおうか。……でもかなり高そうだよね」
「……子うさぎ?」
あれ?
ハデスが起きたみたいだね。
「……ナンダ。ガイチュウ」
害虫!?
普通に悪口だよね?
どうしたんだろう。
ハデスが怒らないよ?
「……タルタロスに行っていたのか?」
え?
どうして分かるのかな?
「……」
うさちゃんは返事をしないんだね。
どうかしたのかな?
「……誰に会いに行った?」
え?
誰って?
ハデスの顔が怖いよ?
「……」
うさちゃんは何も話さないんだね。
「コットスか? それとも……」
ハデス?
うさちゃんがコットスに会いに?
何をするのも面倒がる、うさちゃんが?
「……」
「まさか……」
まさか?
もしかしてクロノスおじい様に会ってきたの?
「アケラレナカッタンダロウ」
え?
開けられなかった?
何が?
「……なぜそれを」
「オレハ、ヤミノチカラヲ、モッテイル」
「……!」
「アトハ、スキニシロ。オマエガ、メイオウダ。コノ、メイカイハ、オマエノ、モノダ。イママデ、メイカイヲ、マモッテ、キタノハ、ケルベロスト、ハデスダ。ホカノ、ヤツニ、トヤカク、イワレル、スジアイハ、ナイ」
「……子うさぎ」
「ハヤク、イケ。キョウハ、ペルセポネハ、オレガ、マモル。マア、フダンカラ、オマエハ、ナンノ、ヤクニモ、タタナイガナ」
「子うさぎ……お前……」
「ハヤク、イケ」
「ペルセポネ……すまない。タルタロスに行ってくる」
「え? あ、うん。わたしの事は気にしないで?」
「あぁ……すまない」
ハデスが慌てて部屋から出ていったね。
わたしには何が起きているのか分からないよ。
「うさちゃん……クロノス様を……」
「あの扉の無い独房をどうやって」
「どこをどうしたら開いたんだ?」
ケルベロスの三つの頭が混乱しているね。
どうしたのかな?
「ケルベロス? 大丈夫?」
「あぁ……はい」
「クロノス様の独房には扉が無くて……鉄格子越しにしか会えなくて」
「その独房は誰にも開けられなかったんだ。不思議な事にクロノス様達のいる独房は、いつの間にか建っていて……クロノス様が中に入ると扉が消えたんだ」
「誰にも開けられなかった? しかも、いつの間にか建っていたって……? 確かタルタロスの牢は酷い場所なんだよね? コットスが言っていたよ?」
「……それが、天界の戦が落ち着きクロノス様達が囚われる事が決まったのでタルタロスに向かったのですが、様子が一変していまして」
「汚く臭かったタルタロスが清潔になっていて。コットス達が囚われていた頃とは全く変わっていたのです」
「しかも、立派な独房も建っていたんだ。数日しか留守にしていないのに一体誰がやったのか……だが、それを知られると天界で問題になると思い我らだけの秘密にしたんだ。タルタロスは今でも酷い場所だと思わせる為にな」
……そんな事ができるのは、吉田のおじいちゃんかおばあちゃんだけだよね?
でも、吉田のおじいちゃんはその頃には『人間と魔族の世界』に行っていたから……
おばあちゃんがやった?
「……それをうさちゃんが開けたの?」
どうやって?
「……オレニハ、ジカンガナイ。ヤレルコトハ、ハヤク、ヤラナイトナ」
時間がない?
「うさちゃん?」
「ネムクナッタ。ベリスオウコクノ、ソファーヲ、タノム」
「……え?」
あぁ……
バスケットで寝ちゃったね。
時間がないってなんだろう?
ずっと寝ていたいっていう事かな?




