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冥界の光の秘密

「あれは……まだわたしが冥王になったばかりの頃だ。冥界はかなり酷い場所でな。常に悲鳴が聞こえ、寒く薄暗かったこの地をなんとか住みやすい地に変えようとした。だがそれは容易ではなくてな」


「吉田のおじいちゃんが言っていたよ。ハデスが冥界を今みたいに素敵な場所にしたんだって。ハデスだけは父親を想っているからすごく感謝しているって」


「……そうか。ヨシダさんが……」


「ハデスはどうやって薄暗かった冥界を明るくて暖かい場所にしたの? 魔素じゃなかったんだよね?」


「魔素ではない。日の光も月さえもない場所が冥界だ。わたしは考えた。寒いのは日が当たらないからではないかと。そして闇に近い力で日の光の代わりになる物を創れないかと模索した」


「闇に近い力で日の光を……?」


 正反対の力のように思えるけど……


「そして辿り着いたのだ。冥界は天界の真下にある」


「……? うん。そうみたいだね」


「……その位置関係を使い冥界に光を取り入れたのだ」


「……? え? よく分からないよ……」


「ちょうど神殿がある場所の真下に光を置いたのだ」


「……? えっと……? 神殿ってお父様の宮殿だよね?」


「そうだ。神殿には神力が溜め込んであるのだ。だがそれを知っている者はあまりいないようだな」


「……ハデスはそれをどこで知ったの?」


「……タルタロスにいる父に聞いたのだ」


「クロノスおじい様に?」


「ペルセポネはおじい様と呼んでくれるのだな」


「ハデスが大切に想うなら、わたしにとっても大切な存在だよ?」


「……そうか。父も……好きで我ら姉弟を飲み込んだわけではない。ずっと苦しみ続けていたのだ」


「……うん」


 確か、クロノスおじい様に飲み込まれていた時に、おじい様の心の声が聞こえていたって言っていたよね。


「父に冥界を穏やかな明るい地にしたいと話すと天界の神殿の隠し部屋の存在を教えてくれた。そこに忍び込むと大量の神力が隠してあったのだ」


「大量の神力が? どうやって? 魔法石みたいな物に溜め込まれていたの?」


「……というよりは光の塊と言った方が近いかもしれないな。その一部を冥界に持ち込むと不思議な事に天界にある光の塊から冥界に持ってきた光の一部に神力が流れ続けたのだ。そして……荒らされた場所がゆっくり元に戻っていった」


「どういう事?」


 神力が流れ続けた?

 荒らされた場所が元に戻ったって……?

 お母様が、ヘラが壊した物を直せるみたいな?

 だからハデスは、わたしが冥界で暴走しても大丈夫って言ったのか。

 じゃあ『人間と魔族の世界』でオケアノスが力を爆発させて天界を滅ぼそうとしても、二つの世界の間に冥界があるから不可能なんじゃないかな?


「分からない。だが……わたしは……」


「ハデス?」


「タルタロスにも少しずつその光を……」


「……うん。クロノスおじい様が暮らしやすいようにしたんだよね」


「タルタロスは重罪人の監獄だ。これが天界に知れるとどうなるか……だが……わたしは父に……」


「幸せに暮らして欲しいんだね」


「だが父は、わたしがタルタロスに光を持ち込んだと知ると距離を置いたのだ」


「ハデスがクロノスおじい様の為に天界から光を盗んできた事に気づいたから?」


「……呆れたか?」


「……? 何に?」


 ハデスが辛そうにしている?

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