冥界の門の秘密
「ケルベロスはすごいね。ジャンプで冥界まで来ちゃうんだから」
ケルベロスは空間移動ができないのかな?
そういえばケルベロスは聖獣なのかな?
「はい! これくらいは簡単です! さあ、ベットでおやすみください!」
「え? 寝ていいの? 何か話があったんじゃないの?」
「話したい事は山のようにありますが今はしっかり眠らないと。明日もアカデミーですからね」
「ケルベロス……いつもありがとう」
「ペルセポネ様の為ならば何だってできますよ」
あ……
今、話している頭以外の二人は眠っているね。
「ふふ。他の二人は眠っているんだね。わたしよりケルベロスの方が疲れていそうだよ。夜の間はベットで眠れるんでしょう? ケルベロスも早く眠って?」
「はい! ペルセポネ様が冥界にいると思うだけで良い夢が見られそうです!」
こうしてハデスと、バスケットに入って寝ているうさちゃんと三人で寝室に入るとハデスが話し始める。
「子うさぎは、よく寝ているな」
「ふふ。今日は疲れたんだろうね」
「……ペルセポネ。心の中のオケアノスは落ち着いているか?」
「ん? うん。何も話しかけてこないけど……」
「そうか」
「ハデス? ハデスは冥界に何かしたの?」
「……あぁ。そうだな。天界の奴らがうるさくてな……」
「え?」
「遥か昔は天族ならばいつでも冥界の門をくぐり抜けられたのだ。あの頃はケルベロスだけが門番の役割をしていた」
「そういえば、おばあちゃんもケルベロスの留守の間にタルタロスに入り込んだって言っていたよね」
「そのようだな。だから、冥界の門に決まりを持たせたのだ」
「決まりを持たせた?」
「そうだ。決まった者以外はケルベロスの許可なく冥界の門をくぐれない」
「……そういえば前にわたしとうさちゃんは門に認められているからケルベロスがいなくても入れるみたいな事を言っていたような」
「ケルベロスから聞いたのだな。その通りだ」
「確か普通は何日か前に入門申請書を出さないと冥界には入れないんだよね? それでもケルベロスに許可を得ないと入れないの?」
「あぁ。ケルベロスの仕事量を減らす為にそうしたのだ。そうすれば数日前から誰が来るか分かるからな。それと、入門申請書だけでは入れないのだ。最終的にはケルベロスの許可がいる」
「そうだったんだね。あの……さ」
「なんだ?」
「オケアノスが暴走したらわたしを冥界に連れてくるって言っていたよね? あれって……?」
「あれか。そうだな。ペルセポネには話していなかったか。眠る時間が遅くなるが大丈夫か?」
「話してくれるの?」
「もちろんだ。ペルセポネに隠し事はしたくないからな」
「ハデス……」
わたしは隠し事ばかりしているのに……




