この世界皆の命とわたし一人の命の重さ?
とりあえず種族王達は一旦国に帰る事になった。
「あの……母上……」
グリフォン王がお母さんに話しかけているね。
アカデミーで作ったプレゼントを渡すのかな?
「……はい?」
「あの……水晶で……見ていたから……分かっていますよね? わたしは……母上に贈り物をしたくて……でも……今は違うと思うのです」
「……今は……違う?」
「ベリス王女が大変な時に……わたしが母上に贈り物をするのは違うと思うのです」
「……立派になりましたね」
「……え?」
「自分の事だけではなく周りの方々の事を考えられるようになったのですね」
「……母上」
「種族王とは……大変な地位です。グリフォン族だけではなく傘下に入る種族も守らねばなりません。一瞬たりとも気を抜けない地位です。油断すれば……命はないでしょう」
「……! はい……」
「わたくしは……生きていて欲しい……愛する息子に……ずっとずっと生きていて欲しいのです」
「母上……わたしは……立派な種族王になります。父上のような立派な種族王に」
「……これで……もう……」
「え?」
「わたくしの役割は終わりました」
「母上?」
「これで安心して世界の旅に戻れます」
「……母上」
「海に浮かぶグリフォン王国が浮遊するまでもう少し……そうしたら……また離れ離れですね。本当はただ甘やかしたかった。ですが……」
「分かっています。母上はわたしを生かす為に厳しくしていたのですよね。わたしは……立派な種族王になります。母上が……甘やかしたい気持ちを我慢してまで厳しくした努力を決して無駄にはしません」
「……本当に立派になりましたね」
グリフォン王もお母さんも幸せそうに微笑んでいるね。
こうして種族王達はそれぞれの国に、王子達は幸せの島に戻っていった。
「……ペルセポネ……体調はどう? 昼に血を吐いたのよ? 心配だわ」
お母様が優しく抱きしめてくれたね。
「そうだぞ? 無理ばかりして……」
ママも優しく髪を撫でてくれたね。
「ごめんなさい……でも……どうしてもジャックを助けたかったの」
「ペルセポネ……そうね。オケアノスの心は……どう?」
お母様が辛そうな顔をしているよ。
「うん。あれから何も話してこないよ?」
「……そう」
「……分かっているよ?」
「……え?」
「もしも……わたしが暴走したら……わたしを殺さないといけないんだよね」
「……ペルセポネ!」
この反応は……
やっぱり思った通りだよ。
「吉田のおじいちゃんと、初めからいた皆が守り続けてきたこの世界は……絶対に滅んだらいけないんだよね」
「……また……ペルセポネを喪ったら。お母様は……この世界全ての生き物よりペルセポネを選ぶわ!」
お母様が泣きそうな顔をしている……
……でも。
「お母様。わたし……天界にいた頃は生きる事を諦めたの。でも……今は違う。二度とお母様にあんな思いはさせない。わたしは……大切な人を喪う悲しみを知ったから」
だから……
そんなに辛そうな顔をしないで欲しいよ。




