表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

922/1484

この世界皆の命とわたし一人の命の重さ?

 とりあえず種族王達は一旦国に帰る事になった。


「あの……母上……」


 グリフォン王がお母さんに話しかけているね。

 アカデミーで作ったプレゼントを渡すのかな?


「……はい?」


「あの……水晶で……見ていたから……分かっていますよね? わたしは……母上に贈り物をしたくて……でも……今は違うと思うのです」


「……今は……違う?」


「ベリス王女が大変な時に……わたしが母上に贈り物をするのは違うと思うのです」


「……立派になりましたね」 


「……え?」


「自分の事だけではなく周りの方々の事を考えられるようになったのですね」


「……母上」


「種族王とは……大変な地位です。グリフォン族だけではなく傘下に入る種族も守らねばなりません。一瞬たりとも気を抜けない地位です。油断すれば……命はないでしょう」


「……! はい……」


「わたくしは……生きていて欲しい……愛する息子に……ずっとずっと生きていて欲しいのです」


「母上……わたしは……立派な種族王になります。父上のような立派な種族王に」


「……これで……もう……」


「え?」


「わたくしの役割は終わりました」


「母上?」


「これで安心して世界の旅に戻れます」


「……母上」


「海に浮かぶグリフォン王国が浮遊するまでもう少し……そうしたら……また離れ離れですね。本当はただ甘やかしたかった。ですが……」


「分かっています。母上はわたしを生かす為に厳しくしていたのですよね。わたしは……立派な種族王になります。母上が……甘やかしたい気持ちを我慢してまで厳しくした努力を決して無駄にはしません」


「……本当に立派になりましたね」


 グリフォン王もお母さんも幸せそうに微笑んでいるね。


 こうして種族王達はそれぞれの国に、王子達は幸せの島に戻っていった。


「……ペルセポネ……体調はどう? 昼に血を吐いたのよ? 心配だわ」


 お母様が優しく抱きしめてくれたね。


「そうだぞ? 無理ばかりして……」


 ママも優しく髪を撫でてくれたね。


「ごめんなさい……でも……どうしてもジャックを助けたかったの」


「ペルセポネ……そうね。オケアノスの心は……どう?」


 お母様が辛そうな顔をしているよ。


「うん。あれから何も話してこないよ?」


「……そう」


「……分かっているよ?」


「……え?」


「もしも……わたしが暴走したら……わたしを殺さないといけないんだよね」


「……ペルセポネ!」


 この反応は……

 やっぱり思った通りだよ。


「吉田のおじいちゃんと、初めからいた皆が守り続けてきたこの世界は……絶対に滅んだらいけないんだよね」


「……また……ペルセポネを喪ったら。お母様は……この世界全ての生き物よりペルセポネを選ぶわ!」


 お母様が泣きそうな顔をしている……

 ……でも。


「お母様。わたし……天界にいた頃は生きる事を諦めたの。でも……今は違う。二度とお母様にあんな思いはさせない。わたしは……大切な人を喪う悲しみを知ったから」


 だから……

 そんなに辛そうな顔をしないで欲しいよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ