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あまりに辛過ぎて心が痛いよ(1)

「ぺるみ様……全て話します」


 ベリス王が真剣な顔をしているね。

 身体が小さく震えたままだけど大丈夫かな?


「……全て?」


 何を話したいのかな?


「なぜベリス族が人間相手に商売をしているのか……です」


 ベリス王の声が小さく震えている……

 いつもは何を考えているのか分からないくらい表情を作っているのに、すごく弱々しく見えるよ。


「……ベリス王子から聞いたあの話は嘘なんだね。リリーさんと数代前のベリス王の話は……どこまでが本当なの?」

 

「息子は悪くありません。わたしが嘘を話したのです。息子はそれを信じただけです」


 ベリス王子は全部嘘だと分かっているって、ゲイザー族長が言っていたよね。


「……ベリス王子は……そんなバカじゃないよ。きっと嘘を見抜いているよ」


「……え?」


「ベリス王が育てた子なんだよ? 次期ベリス王なんだよ? 父親の嘘くらい簡単に見抜けるはずだよ」


「……! わたしは……愚かですね。だから今も幸せの島に行って……息子の成長を甘く見ていました。いつまでも赤ん坊ではないのですね。本当に……わたしは愚かな父親です」


「……ベリス王? わたしに真実を話すっていう事は……何か助けて欲しい事があるんだね」


「……はい」


「話して? ……すごく辛そうだよ? もし……あれなら、誰もいない場所に行く?」


「いえ。第三地区の皆さんにも……聞いて欲しいのです。知恵を授けて欲しいのです。……わたしの……大切な娘の為に……」


「娘さん? ベリス王子には妹さんがいるんだね」


「……いえ。姉です。息子よりも十年程前に産まれた娘です」


 ベリス族は先に産まれた子が王位を譲られるんじゃないんだね。


「娘さんが……どうかしたのかな?」


 ベリス王の顔色が悪過ぎるよ。

 

「……心が……」


「心?」


「心が完全に壊れてしまったのです」


「……え?」


 完全に壊れた?


「あの時……前魔王に連れ去られたのはパートナーだけではありませんでした。娘も共に連れ去られていたのです。わたしは命がけで前魔王からパートナーと娘を守ろうとしましたが……前魔王には魔力の攻撃が効かずに……」


 確かその時、ベリス王とイフリート王が大怪我をしたんだよね。

 パパが作った薬をハデスが渡しに行ったらしいけどさすがに一日じゃ治らないはずだよ。

 怪我をした身体でパートナーさんと娘さんを助けに行ったんだね。


「確か翌日にグリフォン王のお母さんが前魔王を倒してパートナーさん達は解放されたんだよね?」


「はい。ですが……娘は……前魔王は連れ去ったその日のうちに娘を……共に連れ去られたイフリート王のパートナーと、わたしのパートナーの目の前で切り刻んだのです」


 ……!?

 切り刻んだ!?

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