ずっとあった違和感(3)
(ぺるみ様は自分に自信がないから……だから……オレはぺるみ様を好きなのかもしれません)
ゴンザレス……?
自信がないから好きって?
(『完璧な存在』よりもその方が好感を持てるのでしょうか? よくは分かりませんが)
好感を持てる?
(神の娘と聞けば普通は近寄りがたいはずです。それに何不自由なく暮らし贅沢三昧で性格も悪そうだし他人を見下しそうだし)
……すごい言われようだね。
(あはは! ですがぺるみ様は違うでしょう? すごく苦労して今に至りましたし。ベリアルに鼻の下を伸ばして鼻血まで垂らす神の娘なんて……ははっ! 今日はどんな事をしてベリアルを怒らせるのかと毎日楽しみにしているんですよ?)
……うぅ。
確かに毎日怒られているけど。
(どうか、これからもかわいらしいぺるみ様でいてください。そうでなければ近寄りがたくなってしまいますから)
ゴンザレス……
(千年後も二千年後もずっとずっと今のぺるみ様でいてください。ずっとずっと笑っていてください)
……うん。
ありがとう。
わたしを元気づけてくれたんだね。
(いつものぺるみ様に戻って欲しくて……生意気な事を言って申し訳ありません)
そんな事はないよ。
ありがとう。
すごく嬉しいよ?
(ジギタリス公爵の処刑が近づいてきました。ぺるみ様はその場には行かない方が……いえ、絶対に行ってはいけません)
ゴンザレス?
(いつもにこやかにぺるみ様に話しかけてくる市場の人間が……公爵の処刑に歓喜する姿を見せたくないんです)
……でも。
(アカデミーの同じクラスの皆さんも……きっと普段とは違う顔を見せるでしょう)
そんな……
皆は貴族なんだよ?
(だからこそ自分をいつも虐げていた公爵が……自分より地位の高い貴族が処刑される瞬間に快楽を覚えるはずです)
快楽を……?
皆はそんな人間じゃ……
(ぺるみ様は優し過ぎます。これが現実なんですよ……)
心が聞こえるゴンザレスが言うならそうなんだろうけど……
(とにかく……絶対に処刑の瞬間を見てはいけません。永遠の時を傷つきながら生きる事になります)
……それって逃げているんじゃないかな?
わたしだって見たくはないけど……
見ないといけないと思うんだ。
(そこまで人間に関わる必要はありませんよ)
ゴンザレス?
(オレも……遥か昔、人間と仲良くしたいと思っていた時期がありました。ですが……どうしてもそうはなれませんでした)
……どうして?
(考え方が違うからです。厳しい身分制度の中にいるせいで考え方が合わないんです)
……それって?
(このクラスのジャック達はかなり田舎の男爵家だから他の貴族とあまり関わりがなかったようですからね。『貧乏貴族』とバカにされた事はあってもそれほど嫌がらせはされてこなかったんでしょう。ですが、都会に近い貴族は厳しい身分制度で抑圧されて地位の低い貴族はかなり虐げられています。それが代々続いているんです)
だから、自分より地位の高い貴族に対しての嫌悪感が受け継がれているの?




