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誕生日ケーキ完成

「うぅ……グスン」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルが泣いているね。

 感動しているのかな?

 確かにベリアルに似ているケーキができたけど。


「ベリアル……そんなにベリアルケーキが嬉しいの?」


「だって……こんなにオレに似てるのに切って食べるなんて……悲しいよ。かわいそうで食べられないよ」


 なんて……

 なんてかわいいの!?

 黄色いカスタードクリームみたいなヒヨコちゃんが、わたしが作ったベリアルの立体ケーキを見て泣いているよ。

 しかも、かわいいから食べられないなんて……

 くぅぅ!

 堪らないね!

 

「そうか、そうか。じゃあベリアルはこのケーキを見てるだけかぁ。じいちゃんは食べるけどなぁ」


 吉田のおじいちゃん……

 おもしろがって遊んでいるね。


「ええ!? じいちゃんは食べるのか!? じゃあオレも食べる! 今食べるのか!? 今か!?」


 ベリアル……

 さっきまで泣いていたよね?

 早く食べたくて、つぶらな瞳がキラキラ輝いているよ。


「ベリアル……このケーキはお父さんの誕生日のケーキだからね? お父さんがロウソクを吹き消したら食べようね?」

 

「ロウソク? 吹き消す? 人間はなんでそんな事するんだ?」


「うーん。この世界の事はよく分からないけど……前の世界の時は年の数だけロウソクを立てて部屋の明かりを消して主役が吹き消したの。全部一度に吹き消せたら願いが叶うらしいよ?」


「全部一度に? すごい数のロウソクになったら吹き消すのが大変そうだな」


「あははは。そうだね。吉田のおじいちゃんと田中のおじいちゃんだったお父様は毎年どっちが多くロウソクを消せるか勝負していたんだよ?」


「人間でも百本近くあれば大変なのに、天族とか魔族だともっと大変そうだな。何千本も一度には吹き消せないからな」


 ん?

 言われてみればそうだね。


 吉田のおじいちゃんも田中のおじいちゃんも『太いロウソク一本で十歳』にしないと吹き消すのは無理だって他のお年寄り達に言われても、自分の方がたくさん吹き消せるからって言って意地でもロウソクを年の数だけ立てていたよね。 

 待てよ?

 お父様の誕生日のケーキにもロウソクを立てるんだよね?

 まさか年の数だけ立てるなんて事はないよね?

 数千本のロウソクを立てられるケーキってどれだけ大きいの?

 もはやケーキの上が火事なんじゃないかな?

 うぅ……

 困ったな。

 ロウソク一本を千年とかだと嫌がるよね。

 一本で十年だとしてもかなりの数になるよね?

 どうしたら……

 

「ぷはっ」


 ん?

 吉田のおじいちゃん?

 またわたしの心の声を聞いたんだね?


「なぁ、ぺるみ? このケーキ……まさかヒヨコにロウソクを挿さないよな?」


 ふふふ。

 髪の毛みたいに頭にロウソクを立ててもかわいいだろうね。

 でも、ベリアルはヒヨコちゃんを気に入っているみたいだし、やめておこう。

 

「ヒヨコちゃんが乗っている下のケーキに立てるから平気だよ? お父さんは大きいロウソク一本を十年の計算で立てるから、数も少ないし。ヒヨコちゃんは無事だから安心してね?」


「そうか。良かった。えへへ」


 ……!?

 かわいいっ!

 なんてかわいいの!?

 ぐふふ。

 わたしの息子は世界一かわいいヒヨコちゃんだよ!

 

「ぺるみは楽しそうね」


 ドラゴン王のばあばが、たくさんのドラゴン達と第三地区に降り立つとドラゴン達が人間の姿になる。


「えへへ。ベリアルがわたしとハデスの息子になったんだよ?」


「え? ふふ。なんだか楽しくなりそうね?」


「うん! もっともっと楽しくなりそうな予感がするよ!」


 そうだよ。

 魔族も天族も第三地区では仲良しだし。

 人間の国の魔素も祓われて平和になっているだろうし。

 これからは毎日かわいいベリアルを撫で回しながら、おもしろおかしく暮らしていけるんだ。

 ワクワクが止まらないよ!

 

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