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お互いを想い過ぎてすれ違う事もあるよね(1)

「パール殿下おはようございます」

「今日もフワフワの髪がかわいいなぁ」

「ウルウルの瞳もかわいいなぁ」

「ツヤツヤの肌も綺麗だよなぁ」


 おっとりした男の子達は相変わらずグリフォン王に夢中だね。


「緋色の殿下……おはようございます」

「あの……昨日いただいた化粧品……すごく良かったです」

「今日も……素敵ですね」

 

 クラスの女の子達が恥ずかしそうにベリス王子に話しかけると廊下から見ていた他のクラスの女の子達が羨ましそうに見つめている。


「赤き殿下、まだ時間が早いから遊びませんか? 石投げをしましょうよ」

「昨日の続きをしましょう?」


 イフリート王子は元気のいい男の子達といつの間にか仲良くなっているね。


「よし、じゃあ先生が来る前に帰ってこないとな。走るぞ!」


 イフリート王子はすっかり人間に馴染んでいるね。

 皆で仲良く外に走っていったよ。


「うぅ……」


 グリフォン王はお母さんに水晶で見られているからビクビクしているね。


「パール殿下? 大丈夫ですか?」

「顔色が悪いですよ?」


「うぅ……何でも……ない……」


 ……心配になるくらい震えているよ。

 お母さんが笑いながら前魔王をやった事を知ったばかりだからね。

 怖いはずだよ。


「そうだ。市場の相談役のお店でキャンディを買ってきたんですよ。おひとつどうぞ」

 

 食べるのが大好きなジャックは相談役と仲良くなったのかな?

 色々相談に乗ってもらっているのかもね。


「キャンディ……?」


「甘い物を食べると落ち着きますから。ヒヨコ様とゴンザレス様もどうぞ」


「うわあぁぁい! 相談役のキャンディだ!」


 ベリアルは簡単だね……

 そんなところもかわいいけど。

 ぐふふ。

 

「ありがと」


 ゴンザレスもちゃんとお礼を言えて偉いよ。

 甘い物が好きだから嬉しそうだね。


「……甘い」


 グリフォン王が呟いたね。


「あ、もしかして甘い物が嫌いでしたか?」


「……いや。おいしい……」


「えへへ。良かったです」


「……昔……母上が……」


「……? お母さん? 王妃様ですか?」


「……母上は……厳しい鍛錬の後にいつも果物を見つけてきてくれて……」


「鍛錬……ですか?」


「自分も疲れているはずなのに……」


「……オレの母親もそうですよ。貧乏な男爵家だから、自分は食べるのを我慢していつもオレ達兄弟に……」


「……そうか」


「母さんに『食べて』って言うと『母さんはいいから食べなさい』って……でも……オレがおいしそうに食べるとすごく嬉しそうにしていて……」


「……母上もわたしが食べる姿を見て嬉しそうにしていたけど……今は……」


「……今は?」


「わたしに呆れて……おられて……」


 やっぱり誤解しているんだね。

 ビクビクし過ぎてお母さんの顔を見ていないんだ……


「……王……王子。本当にそうかな?」


 危ない危ない。

 今は王子の設定なんだよね。


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