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この世界の常識……?

 キャーキャー言われながらクラスルームに入ると前の席のジャックとベリアルが楽しそうに話している。

 

「ヒヨコ様のリボンすごくかわいいですね」


「そうか? 自分じゃ見えないけどな」


「今日はバニラ様は来ないんですか? ゴンザレス様はペリドット様の肩にいましたけど」


「ん? お出かけするって言ってたぞ?」


「そうですか。バニラ様はヒヨコ様のお母さんみたいな存在なんですよね?」


「ん? そうだな。一緒に寝たり……えへへ。寝つくまでトントンしてくれるんだ」


「うわあぁ! かわいいなぁ」


 ジャックが瞳をキラキラさせているよ。


「ふふ。ジャックは楽しそうだね」


「あ、ペリドット様おはようございます。ヒヨコ様のリボンが最高過ぎて幸せですっ!」


「あはは。わたしもニヤニヤが止まらないよ」


「外のうちわ、すごかったですね」


「そうだね。見た? ヒヨコちゃんのうちわ……」


「見ましたよ! 激かわでしたねっ!」


「堪らないよ……でも、いつの間にうちわを作ったんだろう?」


「ああ。マクラメさんが昨日のうちに皆に推し活? の方法を教えたみたいですよ?」


「へえ。そうなんだね」


「マクラメさんは同じ男爵家だけどオレとは違って行動力がすごいですね。尊敬しちゃいますよ」


「ふふ。ジャックも素敵だよ。優しくて穏やかで」


「えへへ。ありがとうございます」


「……ねえ、ジャックは……さ」


「……? はい?」


「魔族って……どう思う?」


 突然変な事を訊いて驚かれちゃうかな?


「……え? うーん……人を食べる怖い生き物……ですかね」


「……そっか」


 やっぱりそうだよね。


「うーん。でも……」


「でも?」


「もっと怖いのは人ですよ」


「……人間?」


「ほら、オレは貴族だけど男爵家だから。アカデミーに来たらそれをさらに思い知らされたっていうか……」


「身分制度……」


「はい。上に立つ者はどこまでも強く、下にいる者はどこまでも虐げられる事を……体感したというか……」


「魔族とは出会わなければ食べられないし安心だけど、人は……そうもいきませんからね。貴族の集まりとかもあるし」


「なるほど……」


「ペリドット様?」


「あぁ……変な事を訊いてごめんね」


「何かあったんですか?」


「え?」


「あの……もしかして一緒に暮らしているドラゴンに何かあったんですか?」


「え? ドラゴン?」


 そうか。

 わたしはドラゴンと共に暮らす少女っていう設定だったね。


「もしかして人間を食べなくなったとか?」


「え?」


 魔族が人間を食べなくなってきている事を知っているの?

 まさか……ね。


「ペリドット様は魔素に閉ざされている国にいたから……最近は魔族も人以外の……果物とかを食べるようになってきているみたいなんです」


「……! どうしてそれを知っているの?」


「え? それは……魔族が果物とかを食べる姿を見たりする人が大勢いるみたいですよ? まあ、人も食べるみたいですけど」


「……ジャックは……上手く言えないけど……怖くないの? 魔族は人間を食べるんだよ?」


「え? でも、それは当然の事だし」


「当然の事?」


「え? だって人が魔族に食べられるのは当然の事ですよ?」


「……当然の……事?」


「はい」


「怖く……ないの?」


「うーん……できれば食べられたくはないけど……食べられたら運が悪かったっていうか……そんな感じですかね」


 これがこの世界の常識……なの?

 前の世界では人間を食べる存在がいなかったから、違和感しかないよ。

 人間は、もっと魔族を怖がっているのかと思っていたけど……

 

 

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