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自分を偽ってまで皆から尊敬されたくないんだよ

「きぃやあぁぁぁぁあ!」

「素敵ぃぃぃ!」

「こっち向いてぇぇぇえ!」


 珍しく遅刻ギリギリじゃないから門を通って登校したんだけど……

 王子達の人気はすごいね。

 アカデミーの女の子達がうちわを持って叫んでいるよ。

 でも、ちゃんと距離は保っているね。

 この統率された感じは……

 やっぱりマクスの妹のマクラメがいるよ。

 

「うおぉぉぉ! パール殿下ぁぁぁぁあ!」


 ……グリフォン王のファンの圧がすごいよ。

 野太い声が響いている。

 グリフォン王は男の子達に大人気なんだね。


 ……わたしのファンはいないのか。

 なんだろうね……

 寂しいよ。

 やっぱりわたしはモフモフ好きの変態だからかな……

 ライブ会場でうちわが無いアイドルの気持ちが分かったよ。

 こんなに虚しいんだね。


 ん?

 ヒヨコ様ラブ……?

 ベリアルのうちわがある!?

 しかも、黄色いヒヨコちゃんの形だよ!?

 堪らないね……

 あの人間とは仲良くなれそうだよ。

 ぐふふ。


「……ぺるみ、ヨダレを拭け……お前……そんなだからうちわが一つも無いんだぞ」


 ……!?

 抱っこしているベリアルが呆れ顔でわたしを見つめている?

 うちわが一つも無い事がばれていたんだね……

 恥ずかしいったらないよ。


「いいんだもん。今、猫を被ってうちわを一つ増やすより、永遠に『ど変態』としてヒヨコちゃんを吸い続けたいんだもん! 一秒だって自分を偽って無駄にしたくないんだもん。その為にはうちわが無くたっていいんだもん」


「……お前……本物の『ど変態』だな。正直気持ち悪いぞ」


「……!? なんだろうね。この気持ち良さは……ちょっともう一回罵ってみてよ」


「……!? ……お前……気持ち悪……あ、ジャックだ!」


 ベリアルがわたしの腕から抜け出してジャックの所に飛んで逃げた!?


「ええ!? ちょっと……わたしの護衛……ちょっとぉ……」


 わたしの護衛としてアカデミーに来ているんじゃなかったの?

 でも……

 寝癖につけた白いリボンが激かわだよ。

 堪らないね。

 ぐふふ。

 ニヤニヤがとまらないよ。


「……ぺるみ様」


 ベリス王子がいつもの作り笑顔でわたしを見ているけど……

 明らかに呆れているね。


「……わたしは自分を偽ってまで皆から尊敬されたくないんだよ! 呆れるなら呆れればいいよ!」


「いえ。……それは良いのですが」


「え? 違うの?」


「ぺるみ様が変態な事は周知の事実ですので。それより……ベリアルのかわいらしさを引き立てる物とは……わたしには見当もつかなくて」


「ああ。さっきベリス王と話していたやつだよね」


 ん?

 今の『周知の事実の変態』って悪口じゃないよね?


「はい。何か知恵を授けていただけませんか?」


「え? あぁ……うーん。何だっけ? ベビードレスとスタイとガラガラ以外だっけ?」


「……はい。ボンネットと靴も候補から外したいのですが……」


「うーん。でも、それってわたしが考えた物でもいいのかな? 王子への課題なのに」


「はい。問題ありません。結果さえ出れば良いというのが我が種族の考えですので」


「……なるほど。確かにベリス王もそんな感じだったね」


「それでは……お知恵の方をよろしくお願いいたします」


「お願いいたしますって……うーん。難しいよね……だって利益率の高い物がいいんでしょう?」


 あのベリス王の息子さんだからね。

 安く作って高く売りたいはずだよ。

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