知ってはいけない真実? (3)
「おじいちゃんは人間の為にやったんだよ……自分の私利私欲の為じゃない……」
だから……
そんなに辛そうな顔をしないで?
「……私利私欲……か」
「おじいちゃん?」
「全部じいちゃんのせいなんだ。オケアノスを捨てる為にこの世界を創った愚かなじいちゃんのせいなんだ」
「……おじいちゃん」
「それなのに誰もじいちゃんを責めねぇんだ。それが苦しくてなぁ。今だって狼の兄ちゃんは、じいちゃんの名を出さずに魔族って言ってくれた。皆に気を遣わせて……本当に……すまねぇなぁ」
「皆が知っているからだよ」
「……ん?」
「皆……おじいちゃんがどれだけ苦しんできたかを知っているからだよ」
「ぺるぺる……」
「ありがとう。この世界を……この世界に生きる皆を助けてくれてありがとう」
「……ぺるぺる」
「苦しかったね……辛かったね……」
「ぺるぺると……ハデスちゃんが……前に進んだから……じいちゃんも話そうと思ったんだ」
「え?」
もしかして、さっきのハデスとの話を聞いていたのかな?
「よく頑張ったなぁ。天界にいた頃からずっと……心に溜め込んで苦しんでたのに。偉いなぁ。赤ん坊だったのに、すっかりお姉さんになったんだなぁ」
「皆が支えてくれたから……わたしは……本当に……ペルセポネになれて良かった。ずっと苦しんできたけど……今は心から幸せだよ」
「そうか、そうか。本当に……立派になったなぁ」
吉田のおじいちゃんが満足そうに微笑んでいるね。
「あの……感動的なお話の途中に申し訳ないのですが……アカデミーが始まってしまうので……」
ウェアウルフのお兄ちゃんが話し始めたね。
「うさちゃんの事だよね?」
「……はい」
「魔法石がきしむ音がするって……まさか……魔法石が砕けるなんて事はないよね?」
「それは……わたしには分かりません。ですが……あの……」
「話しにくい事?」
「あぁ……勘違いかもしれませんが……」
「……? うん?」
「なぜか……ゲイザー族長から古代の闇の力を感じるのですが……」
……ゲイザー族長は確か深海にいたうさちゃんに会いに行っていたから自分も闇の力の気配がするんだって話していたよね?
「あ……」
ゲイザー族の皆はいつの間にか魔王城から第三地区に来ていたんだね。
族長と吉田のおじいちゃんが見つめ合っている……
何か心で話しているみたいだ。
「……あの……全てを……話します」
族長が申し訳なさそうに話し始めたね。
「族長?」
「ぺるみ様……申し訳ありません。実は……昨日話せなかった事があるのです」
「話せなかった事……?」
「はい……」
「実は……オレが深海にいたうさちゃんに会いに行っていたのは……魔法石が壊れないように闇の力を吸いとっていたからなのです」
「……え? それって……?」
「前ウェアウルフ王の言う通りです。うさちゃんの闇の力で魔法石が砕けようとしています。ですが……オレがそれを遅らせているのです」
「遅らせている? じゃあ……いつか……砕け……そんな……」
「ぺるみ様……魔法石はもう限界のようです。もってあと数年かと……」
ゲイザー族長が辛そうに話している……




