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真実に心が痛くなる事もあるよね(5)

(オレには子孫がいます。ゲイザー族のかわいい子孫達が……だから生きなければならなくて。ですが……あの子を守れなかった苦しみは……ずっと忘れられませんでした。何をしていてもオレの心にはあの子の苦しむ姿が……)


 族長……


(ですが……オレは……バニラ様の穏やかなお姿を見てやっと心が楽になったのです)


 ……うん。

 そうだね。

 オケアノスだったバニラちゃんがこれからも穏やかに過ごせればいいね。

 あ……

 じゃあ、もしかしてあの時ベリス王子の口から話していたのは……


(はい。オレです)


 そんな事ができるんだね。


(そうですね。短い時間でしたら)


 ……どうやったの?

 その時、ベリス王子の意識はどうなっていたの?


(それは魂が……あ……いえ……)


 ……族長は魂の秘密を知っているみたいだね。


(ええ!? まさか! 知りません! 知りませんよ!)


 ……ごまかそうとしているね。


(まさか! 本当に知りませんよ!)


 ……吉田のおじいちゃんとおばあちゃんとバニラちゃんに筒抜けだからかなり慌てているね。


(ぺるみ様ぁぁぁ! 本当に知りませんよぉ)


 うん……

 そうだね。

 明らかに知っていそうだけど……

 

(ぺるみ様ぁぁぁ!)


 話を変えようか。

 かわいそうになってきたよ。


(うぅ……はい。そうして欲しいです)


 ふふ。

 大丈夫だよ。

 記憶を消されるくらいのはずだから。

 もうひとつ訊いてもいい?


(……はい)

 

『初めからいた者』って……

 かなり昔からずっと生き続けているんだよね?

 上位精霊達と族長と深海にいた子達……

 他にもいるの?


(……)


 族長?


(パートナーを食べた魔族……)


 え?


(そして、そのパートナーも『初めからいた者』でした)


 ……そう。

 その魔族は保護されていないの?


(人間を食べなくなった種族は保護されていますが……その者は保護されていません)


 安全に暮らせているのかな?


(……はい。ただ、外部とは完全に遮断されています)


 遮断?


(自らの意思で……)


 ……どうして?


(え? どうしてとは?)


 わたしも……


(……?)


 ハデスが死んで朽ちるだけになったとしたら……

 その時にわたしが死ねないのなら……


(ぺるみ様……)


 ずっと一緒にいたくて食べるかもしれないよ。


(それは決して口に出してはいけません)


 族長……


(ぺるみ様の為です)


 ……うん。 

 危険な考えだよね。

 分かってはいるの。

 でも……

 わたしには、パートナーを食べた種族を責める事はできないよ。

 

(……それは仲睦まじいパートナーでした)

 

 ……よく知っているんだね。


(はい。初めからいた者は同志でしたから) 


 ……族長も辛いんだね。

 だからわたしに話したんだよね。


(……ぺるみ様なら……なんとかあの者を助けられるのではないかと……)


 誰も傘下に入れてくれないんじゃなくて、誰の傘下にも入りたくない……

 これが真実なのかな?


(はい。確かにパートナーを食べたばかりの頃は種族王に傘下から追い出されましたが……それからは閉じこもってしまって……)


 ……そう。

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