真実に心が痛くなる事もあるよね(4)
(ウラノス様がいなくなり、あの子が蘇るのかも分からず脱け殻のように過ごしていた『初めからいた者』はそのうさぎのような生き物を隠そうとしました。その生き物は初めはうさぎのような姿でしたがすぐに魔宝石の姿になりました)
うさちゃんは、わたしがファルズフに殺されたと分かると長い眠りについたって言っていたよ。
(はい。そのようですね。そして、人間や魔族から狙われない安全な場所を皆で考え深海へ隠したのです)
深海へ?
(はい。ぺるみ様……深海で魚達に出会いましたね?)
うん。
古くから生きる……
あ……
(はい。あの者達も我らと同じ『初めからいた者』なのです)
皆でうさちゃんを守ってくれていたんだね。
そして吉田のおじいちゃんはそれを知っていた。
だから、安心してうさちゃんを放置できたんだね。
(魔王様がこの世界に来た時……かすかに感じたのです。あの子の気配を……)
え?
(ですが……それはすぐに消えました)
……?
(オレ達は必死に考えました。ですが答えは出ずに数年が経ちました。そして……ルゥ様が……)
ルゥが死の島に現れたんだね。
(ですが……最近まであの子の魂がペルセポネ様の魂になっていた事は我らも知りませんでした。あの子がペルセポネ様やルミ様、ルゥ様の心の深い場所で眠っていたからなのか……魂の秘密に関係しているからなのかはオレには分かりません)
……魂の秘密に関しては……お互いに知らないようにしよう?
(はい。オレもそうした方がいいと思います。……ルゥ様が死の島でスクスクと育つ姿を上位精霊達は近くで見守るようになりました。ですが……それはあの子だと知っていたからではありません。ただかわいくて愛おしくて……ルゥ様が我ら『初めからいた者』の愛し子だというのは事実です)
愛し子……?
(申し訳ありませんでした。わたしは……あの時ぺるみ様に何も知らない振りをして色々と話しましたが……今話した事が真実だったのです)
族長……?
どうして話してくれたの?
(オレ達『初めからいた者』はこの事を話せばウラノス様から消されてしまうのではないかと考えていました。ですが、真実は話したい。どうしようかと皆で考えたのです。それで……遠回しに伝えてみてはどうかという事になり、あの時オレが話しました。未来を見た話と一緒に……)
消される……?
どうしてそう思ったの?
(ウラノス様が望んだこの世界の『理』を勝手に変えたからです)
……族長。
(ですが、今ぺるみ様に言われて気づいたのです。ウラノス様が我らを消すはずがないと。オレは愚かです。ウラノス様はずっとこの世界で傷つきながら天族と戦っていたのです。そんなウラノス様がオレ達を消すはずがないのです)
前から気になっていたんだけど……
どうして族長から闇の力を感じるの?
(それは……オレがうさぎのような生き物……うさちゃんを守っていたからでしょうか)
守っていた?
深海で?
(毎日会いに行きました。だから、オレからうさちゃんの闇の力の気配が……したのでしょうか。魔王様からあの子の気配がしたように)
……毎日。
(オレが守れなかったあの子の代わりに……うさちゃんを守りたかったのです。長過ぎる時を……虚しい時を……うさちゃんを守る事で埋めたかったのかもしれません)
長過ぎる時を傷つきながら生きてきたから……
永遠の時の長さに絶望していたの?
 




