ヒヨコのベリアルの秘密(4)
「よーし、じゃあ皆、ぺるぺるの事は天ちゃんには内緒にしようなぁ」
おぉ……
吉田のおじいちゃんは、いつの間に天界から帰って来たんだろう?
「要するに天ちゃんが、もうぺるみの呪いが解けているって自分で気づけばいいのか?」
野田のおじいちゃんがピーちゃんを抱っこしながら話しかけてくる。
「あ! ピーちゃん、おかえり!」
「ルーチャン、タダイマ!」
「今、着いたの?」
「ウン。ドラゴンオウタチハ、イチド、ドラゴンノシマニ、モドルッテ」
「そうなんだね。あ……ばあば達だけど、ちゃんとお金を使っているのかな? よく温泉宿に行っているみたいだけど……ほら、魔族にはお金が無いでしょ?」
「オカネ? ソウイエバ、ドコデオカネヲ、テニイレテルノカナ?」
「田中のおじいちゃんだった時のお父様は、集落でずっと生き続けていたでしょ? しかも年金生活しているって言っていたよね? 戸籍とか住民票とかどうなっていたのかな?」
「イワレテミレバ、ソウダネ」
「まさか……悪い事なんてしていないよね?」
「タナカノジィチャン、ナラマダシモ、ドラゴンオウタチハ、ソンナコト、シナイヨ?」
「そうだよね。お父様ならまだしも、ばあば達はそんな事をしないよね?」
「ちょっとぉ! お父様の事そんな風に思ってたの!?」
あれ?
いつの間にか、お父様が来ていたんだね。
「じゃあ、お金はどうしていたの? いつも高価な物を買って持っていたよね? それに年金をもらうには若い頃に……」
「その辺はフワッとさせておいてよぉ。ね?」
お父様がごまかそうとしている。
まさか……
本当に悪い事をしていたんじゃないよね?
「まぁまぁ、ぺるぺる。今は星治の誕生日ぱーてーの準備が先だぞ? ちなみにじいちゃんは、ちゃあんと年金をもらってたぞ?」
吉田のおじいちゃん……
ちゃんと年金をもらっていたの?
おじいちゃんはいつから集落にいたんだろう?
年金をもらっていたっていう事は戸籍があるんだよね?
「ほれ、ケーキにクリームを絞るんだろ? 急がねぇと星治が来ちまうぞ?」
吉田のおじいちゃんも、あまりこの事には触れられたくないのかな?
ごまかされたような気もするけど……
そうだね。
今は急がないと。
「ケーキにクリームを塗る時にクルクル回すのを見るのっておもしろいよな。どんどんケーキが綺麗になっていくんだ」
ベリアルがケーキの置いてあるテーブルに飛んでくる。
くぅぅ!
なんてかわいいの!?
つぶらな瞳がキラキラ輝いているよ。
そんなに好きならもっとケーキを焼けば良かった。
三個しか作らなかったよ。
もう機嫌は直ったのかな?
怒っていないのかな?
食べ物で機嫌が直るなんて、かわいいなぁ。
「そうだね。スーッてクリームが塗られていくのってワクワクするよね。イチゴをたくさん用意してもらったからイチゴのケーキにしようね」
ベリアルはイチゴのケーキが大好物だからね。
出来上がりを見たベリアルを想像するだけで、にやけちゃうよ。




