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ヒヨコのベリアルの秘密(3)

「ベリアルはぺるみが好きだから息子じゃ嫌なんだよなぁ?」


 え?

 おばあちゃん?

 ベリアルがわたしを……好き?


「……! ばあちゃん!?」


 あれ?

 ベリアルが動揺している?


「え? ベリアルはわたしの事が好きなの? やったぁ! わたしもベリアルが大好きだよ?」


「はぁ!? ぺるみはハデスと結婚してるだろ!?」


「……? そうだよ? ん? 何で?」

 

「オレが好きって……おかしいだろ!」


「うん。魚族長に言われてやっと分かったの! わたしが他のモフモフを吸って満足できないのは、ベリアルじゃなかったからなんだって。わたしはモフモフを吸いたいのもあったけど、ベリアルがわたしのかわいい息子だから吸いたかったんだよ」


 今だって、吸いつきたいくらいかわいいし。


「かわいい息子って……だって呪いのせいなんだろ? あの主治医が呪いをかけたから、だから一時間に一度モフモフを触らないといけなかったんだろ?」


 ベリアル……

 ついに話す時がきたのか。

 呆れられちゃうだろうな。


「あぁ……えっと、それなんだけど……あのね? 呪いは二日くらいで解けていたらしいの。ほら、ファルズフは亡くなったからそんなには呪いが続かなかったみたいで……」


 あぁ……

 皆の反応が怖いよ。

 変態だって呆れられちゃうかな?


「はぁ!? ぺるみは呪いのせいにしてずっとオレを吸ってたのか!?」


 くぅぅ!

 怒っているベリアルもかわいい!


「だって、さっき気づいたんだもん! でも、どうしてベリアルはあの時卵からヒヨコちゃんの姿で出てきたのかな? わたしが吸い取ったのはベリアルの神力だけだよ? どうなったら、わたしの身体に入っていたベリアルの神力がヒヨコちゃんになったの?」


 いろんな動物がいる中の『ヒヨコ』っていうのが気になるよ。

 パパはヒヨコちゃんが大好きで、前ウェアウルフ王のお兄ちゃんにヒヨコちゃんの飾りのついたスプーンを作ってもらっていたし。


「ヨータの話だと、神だったブラックドラゴンが『ベリアルを頼む』って言っていたらしいぞ?」


 ベリアルはピーちゃんと、あの時の話をしていたのかな?

 確かにあの時ピーちゃんも同じ事を言っていたね。

 ブラックドラゴンのおじいちゃんはベリアルを巻き込んで申し訳なかったって何度も謝っていたし……

 ヒヨコちゃんの姿ならパパが絶対にかわいがると思ってベリアルをヒヨコちゃんにしたとか?

 今度会ったら訊いてみよう。


「あ、そうだ。あのね? 皆にお願いがあるの。天界にすごく偉い人が帰って来てね? わたしの呪いをお父様に解いて欲しいらしいの。でも、呪いはもう解けているでしょ? その事をお父様に自力で気づいて欲しいの。だから、黙っていて欲しいんだ。協力してもらえるかな?」


「え? 本当なの? もう呪いに苦しめられる事は無いのね? 良かったわ」


 お母様が優しく抱きしめてくれる。


「うん。心配かけてごめんね?」


「親だもの。元気な時でも心配しているものなのよ? だからそんな風に言わないで? 前にハーピーが言ってくれたのよ? こういう時は『ありがとう』と言うの」


「ママが?」


「ええ。そうよ。ハーピーはいつもまっすぐで素敵よね」


「うん。いつもママは優しくて……大好きなんだ。もちろんお母様も大好きだよ?」


「ふふ。お母様もハーピーの事が大好きよ」


「なんだ? 恥ずかしいな。でも嬉しいぞ!」


 ママが少し離れた場所で恥ずかしそうに笑っているね。

 

「じゃあ、セージが来たら教えましょうね。呪いが解けていたと知ったらすごく喜ぶでしょうね」


「うん。お母様……?」


「……? 何かしら?」


「ありがとう」


「ペルセポネ……?」


「わたし……すぐに心が弱っちゃうけど……いつも愛してくれてありがとう」


「……お母様の方こそ、ありがとう」


 甘くて優しい匂いのするお母様に抱きしめられると心が温かくなる。

 苦しい心が少し穏やかになるのが分かる。

 少しずつ前に進むってこういう事なのかな?


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