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ヒヨコのベリアルの秘密(1)

「じゃあ、じいちゃんは天ちゃんに会いに行って来るからなぁ」


 そう言い残すと吉田のおじいちゃんは誰にも気づかれないように天界へ空間移動した。


 うーん。

 おじいちゃんはどうしてもお父様に呪いの解き方を見つけて欲しいみたいだったけど。

 もうすでに呪いは解けていたんだよね?

 お父様の口から呪いは解けているって言わせたいっていう事?

 どうして?

 しかも今からここにいる皆に呪いが解けている事を話してもいいって……

 おじいちゃんは何をしたいんだろう?


「ペルセポネ、まだ約束より少し早いけれど。あのお方がゼウスに二人きりで話があるって言うから、わたし達だけ先に来たわ?」


 ヘスティアは今日も綺麗だな。

 優しい笑顔でニコニコ笑って素敵だね。

 吉田のおじいちゃんが初代の神様だっていう事は天界の一部の人しか知らないから『あのお方』って言っているんだね。


「あのお方? 誰だ? モグモグ」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルが練乳のかかったイチゴをおいしそうに食べながら尋ねているね。


 くぅぅ!

 かわいい!

 はっ。

 もう呪いは解けているんだから、やっぱりわたしはただの変態なの!?

 うぅ……

 今からここにいる皆に『わたしは変態でした』って暴露するのか。

 嫌だな……


「あぁ……偉いお方が見つかったのよ? ベリアル、そのお方からの伝言よ?」


「ん? オレに? ヘスティアが偉いお方なんて言うならかなり偉いんだよな? モグモグ」


「そうね。かなり偉いわよ? 『ママの言う事をよく聞いて良い子に待っていなさい』だそうよ?」


「……? オレにママなんていないぞ? ずっと一人だったし。誰かと間違えてるんじゃないか? モグモグ」


 ……?

 ベリアルのママ?

 吉田のおじいちゃんがそう言うならどこかに生きていたっていう事かな?


「あの……その事ですが。わたしは見ていたのですが……」


 魚族長が話し始めたね。


「何を見てたんだ? モグモグ」


 あぁ……

 かわいいヒヨコちゃんが首を傾げながらイチゴを食べている。

 堪らないね!

 また鼻血が出そうだよ。

 ……これも呪いのせいにできなくなっちゃうのか。

 やっぱりわたしは変態なんだね。


「ベリアルが卵から産まれた瞬間を、水中にいたわたしだけが見ていました。眩しくて皆さんは目を閉じていましたから。その時……ベリアルの入っていた卵は、姫様だったぺるみ様のお腹の前辺りに突然現れて……ベリアルには天界では母親はいなかったのですよね?」


「ん? そうだぞ。母親はいなかったぞ? モグモグ」


「天界の偉いお方がベリアルに母親がいると話したとしたら……しかも、仲良く待っていなさいという事は今、第三地区に母親がいるという事……つまり、ぺるみ様が母親なのではありませんか?」


 話を聞いていた皆が静まり返る。


 え?

 ベリアルがわたしの子供っていう事?

 産んだ覚えは無いけど……

 でも、確かあの時……

 

「堕天使だったベリアルの神力を吸い取って、その神力がわたしの身体から出てきてヒヨコちゃんのベリアルが誕生した……ん? わたしの身体からベリアルが出てきたっていう事?」


 ベリアルの動きが完全に止まっている。

 しかも、この世の終わりみたいな顔をしているね。

 くぅぅ!

 かわいいっ!

 ベリアルはどんな時もかわいいよ!


 ん?

 じゃあ、わたしがベリアルに対して尋常じゃないくらい興奮して吸いつきたくなるのは息子だから?


「ぺるみが……このキモキモ変態鼻血ぺるみがオレの母親?」


 え?

 わたしの事を陰でそんな風に呼んでいたの?


「嫌だ……嫌だよおおぉぉぉ!」


 ベリアル……

 そんな……

 泣くほど嫌だったなんて。

 ショックだよ。

 わたしの事が嫌いだったの?

  

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