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あなたは誰? (3)

「それは仲睦まじかったようで……一人残される事に耐えられなかったのでしょう。これからはずっと一緒にいられる……と」


 本当にベリス王子……なんだよね?

 いつもと違い過ぎるよ?


「……そう」


「……恐ろしいとは思わないのですか? パートナーを食べたのですよ?」


「……恐ろしい……か。そうだね……恐ろしいっていうよりかは……それほど愛していたんだって思ったかな」


「……愛……ですか」


「土の中で朽ち果てていく姿を想像したら……それよりは自分の中で生き続けて欲しいって思ったのかもしれないね」


「自分の中で生き続ける……?」


「……その種族は傘下に入らなくても平気なの?」


「傘下に入らない種族は他にもいますから。問題はありません。ただ……傘下に入らない者同士が集まって新たな種族王を決めようとした事があったようです。傘下に入る種族が三つあれば種族王になれますからね。でも誰が種族王になるかでもめて結局話が終わったようですが……」


「っていう事は今の種族王の傘下に入っていない種族は少なくとも四つはあるっていう事か……」  


「……はい。そうですね」


「種族王が増えると何か変わるのかな?」


「……特に変わりはしないでしょう。決め事は種族王の多数決ですし。ただ……」


「ただ?」


「種族王が『人間ではなく魔族を食べるべき』と言えば……中には同調する者も出てくるでしょう」


「地位を利用して魔族を食べる仲間を増やそうとしているっていう事?」


「……というよりは……今の種族王達を排除し、強い魔族を取り戻そうとしているのかもしれませんね」


「強い魔族を?」


「遥か昔から比べれば魔族はかなり弱くなりましたから。冥界のケルベロスとこの世界のケルベロスの違いを見れば明らかです」


「……そうだね」


 あれ?

『この世界のケルベロス』?

『ケルベロス王』じゃなくて?


「ぺるみ様……何が正解なのかなんて……誰にも分かりません。皆が自分が正しいと思っているのですから。だから……誰もが自分が正しいと思う道を進んでいる」


「……うん」


「それを統べるのか『魔王』です」


「……魔王」


「わたしは……イフリート王が魔王になる事には賛成です」


「……父親のベリス王じゃなくてもいいの?」


「魔王の座はかなり忙しいですからね。いくつも店舗を持つ……父には実際無理なのですよ。ですが……」


「ですが?」


「イフリート王の次の魔王は……なかなか決まらないでしょうね。魔王の座は永遠に続けられるほど簡単ではありませんから」


「誰かに引きずり降ろされるっていう事?」


「それもありますが……本人の気力が続かなくなる事もあるでしょう。かなりの重圧もありますし自分の時間など無いに等しいですからね」


「イフリート王の次の魔王……か」


「わたしは……ぺるみ様が魔王になればと考えていました。ですが……ザクロの実を食べたから……それは無理なのですね。そして……次期神にもなれない。まるで……誰かがそうする為にザクロの実を食べさせたかのようですね」


「え?」


 ベリス王子?

 やっぱり何か変だよ。

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