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この世界がわたしの願いを叶えようとしているの? (5)

 ……うん。

 わたしが酷い事を願えばこの世界が叶えようとするかもしれないんだよね?


(……それは……少し違うかもしれないわね。この世界は創造主であるウラノスを主としては認めなかった。ペルセポネの願いを叶えようとしているのは……かわいい孫のかわいい願いを叶えようとしている曾祖父母……のような感情に近いのかしら?)


 ……?

『世界』が孫に甘いおじいちゃんとおばあちゃん……?


(ペルセポネ……大丈夫よ? 今まで通りに暮らせばいいの)


 今まで通りに?


(今までこの世界はペルセポネの願いを叶えようとしていたのよ? もしかしたら……この三つの世界は幸せになりたいと思っているんじゃないかしら)


 幸せに?


(ペルセポネは人間と魔族の穏やかな共存を願ったでしょう? 今までにもそれを願った人間はいたわ。わたしの娘や孫……子孫達よ? でも娘達は主には選ばれなかった。主に選ばれる基準は分からないけれど……もしかしたら……)


 もしかしたら?


(群馬のあるあの世界はもう長くはないわ? そうなれば……世界は『天族の世界』と『人間と魔族の世界』の二つになる。世界に心があるのならばそれは辛く悲しい事ね。でも……これは変えようのない事実よ)


 ……うん。


(全ての世界を知るペルセポネだからこそ……残された二つの世界を守る方法が分かるはずよ?)


 世界を……守る?


(ペルセポネ……わたしは……この世界が憎かった。醜いからと捨てられて……人間には迫害されて。でも子孫達の事は愛しくて……わたしの心はそうやって壊れていった。そして、この世界を壊そうとしたの。わたしと共に……ガイアとウラノスと世界を滅ぼそうとした。この世界を消滅させたかった)


 ……バニラちゃん。

 

(きっと……世界は生きたいのよ)


 生きたい?


(消えたくなんてないのよ。これからもその世界に生きる者達を見守りたいのよ。でも……群馬のある世界はあまりに傷つき過ぎてもうそれも叶わなくなるわ。だからこそ……残される二つの世界はペルセポネに頼ったのではないかしら)


 わたしに……?


(『天界』と『人間と魔族の世界』を破滅への道から救って欲しい……と)


 そんな事……わたしにできるのかな?


(ペルセポネの望む未来は『天界』で産まれる容姿の違う子供達が差別をされない事。そして、長い年月をかけて魔族が人間を食べなくなり魔族と人間が穏やかに暮らす事)


 うん。

 そうだけど……


(世界はペルセポネに近い考えなのかもしれないわ? だから実体のあるペルセポネに世界を守って欲しいと思ったのかもしれないわね)


 実体……

 

(きっと……ペルセポネは世界に認められたのね)


 そんな……

 わたしには無理だよ。


(ふふ。ただの考え過ぎかもしれないわ? 孫のようにかわいいペルセポネの願いを世界が叶えているだけかもしれないし。偶然が重なっているだけなのかもしれないわ)


 うん。

 それならいいんだけど……


(とりあえず、今後は危険な事は口に出したらダメよ?)


 ……うん。

 気をつけるよ。


 あれ?

 吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが無言で見つめ合っているね。

 心の中で話しているのかな?

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