この世界がわたしの願いを叶えようとしているの? (4)
それから……
ファルズフに刺された時……
『わたしの魂がこの身体から抜け出るのなら必ずハデスの元に行く』
……そう言ったの。
(……だから長い時を経てハデスの元に辿り着いた?)
群馬では願い事は叶わなかった。
お父さんとお母さんが欲しいって声に出して願ったけどそれは叶わなかったから……
それは、お父さんは異世界に連れ去られて亡くなっていて、お母さんは元々存在していなかったからなんだけど……
でも、わたしは群馬で亡くなってからこの『人間と魔族の世界』に来る事ができた。
そして、この世界にいたお父さんと『お母さんであるイナンナだった、ドラゴンのばあばと雪あん姉やおばあちゃん達』に会えた。
聖女ルゥが産まれてくるまで『群馬のあるあの世界』がわたしを守ってくれていたとしたら?
ハデスに巡り会えるその時まで……
お父さんにもイナンナだったばあば達にもこの世界で出会えたし、天族のお父様とお母様にも再会できた。
(全ての世界がペルセポネを主と認めていた……?)
……分からないけど。
これが事実かは分からないけど……
もちろん、ウリエルやブラックドラゴンのおじいちゃんやお父様が関わっていなければこうはならなかったよ?
でも、皆が月海をルゥの身体に入れる為に動いていたのは確かだよ。
それとベリアルが、魔族を嫌う人間からも異常なまでに愛されているのは、わたしが声に出して何度も『ベリアルは世界の宝だ』って言っていたからなのかも……
(ウリエル達もこの世界に動かされていた? うーん……? それは少し無理があるかもしれないわね。誰かが誰かを守る為に、誰かが誰かを愛する気持ちが積み重なった結果がルゥの身体に辿り着いたのではないかしら? ガイアも言っていたわ? 全てがペルセポネが幸せになるように仕組まれていたかのようだ……と。でも、そうだとしたらかなりの力のある存在ではないかとも言っていたわ? 難しいわね。答えに辿り着ける問題ではないのかもしれないわ)
……本当に『天界』も『群馬のあったあの世界』も、この『人間と魔族の世界』もわたしを守って願いを叶えようとしてくれているのかな?
(……そうね。それは分からないわ? 『世界』は話さないから)
話さない?
……そうだね。
世界にしか分からないんだね。
(ペルセポネが望む『世界』はどんな世界?)
……偽善者みたいに聞こえるだろうけど、誰も傷つかない世界だよ?
容姿が違っても、種族が違っても皆が笑って暮らせる世界……
(ふふ。ペルセポネらしいわね)
甘いよね?
分かっているの。
でも……わたしは、魔族も人間も誰も虐げられない世界になって欲しい。
(わたしがこの世界でオケアノスとして暮らしていた時、この世界はわたしを主としては認めていなかった。つまり、魂がペルセポネの身体に入ってから全ての世界に認められるようになった……? わたしの魂と……ペルセポネの身体がひとつになったから……?)
バニラちゃん?
(それとも……徐々に世界に認められていった? ……とにかく……ペルセポネ……気をつけるのよ?)




