この世界がわたしの願いを叶えようとしているの? (2)
(まだなんとも言えませんが……やはり誰かがぺるみ様の望みを叶えようとしているようですね)
族長?
この世界が……っていう事?
(……それは……分かりません。ただ、ガイア様やウラノス様にさえ分からないのであれば……目には見えない存在である事は確かかと……バニラ様は何と?)
え?
バニラちゃん?
(はい。バニラ様は遥か昔この世界で暮らしていました。何か知っている事があるかもしれません)
確かに……
(……ペルセポネ……ガイア達も混乱しているみたいね)
バニラちゃんが心配そうに肩にフヨフヨ飛んできたね。
これって一体どうなっているの?
偶然が重なってこうなっているの?
(分からないわ? でも、ウラノスがベリス王子の記憶を消したようね。今の段階ではわたし達五人だけの秘密にしましょう?)
五人だけの秘密?
あ……吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが来てくれている。
……うん。
でも……怖いよ。
これが本当ならわたしがこの世界を破滅に導くかもしれないっていう事だよね?
(そうね。……でも、ペルセポネがそれを願う事は無いでしょう? あなたはいつでも魔族と人間との幸せな未来を願っているのだから)
……魔族と人間との幸せな未来?
この世界はわたしが口に出した事を叶えようとしているのかな?
(……今、見る限りだとそうね。もしかしたら……)
もしかしたら?
バニラちゃんは何か分かったの?
(この世界の王……いえ、神? そんな存在がペルセポネという事なのかしら?)
それって……?
(ウラノスはこの世界を創った時に理を作った。でも、その理は今は存在していないみたいでしょう?)
うん。
(でも、ペルセポネの願いを叶えてはいる。つまり……この世界を創ったのはウラノス。でも、この世界はウラノスを認めてはいない。そんなところかしら)
創造主を認めていないって……
じゃあ、どうしてわたしは認めてもらえたのかな?
(この世界でウラノスが望んだ事はいくつかあった。でも、それが続いているのは『子孫繁栄の実』だけよ。この世界は魔族が人間を虐げる為に創られた。でも、まるで違うでしょう? 人間は優しいだけの存在ではないもの。実際、わたしはオケアノスだった時に人間に襲われているわ。あの頃はまだウラノスはこの世界に暮らしてはいなかった。この世界に暮らし始めてからなら理を変えていたかもしれないけれど、あの頃はわたしに対して優しい感情は無かったはずよ?)
じゃあ……この世界が創られてからずっと、おじいちゃんは創造主として認められてはいなかったっていう事?




