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何が真実かは分からないけど……これが真実なら辛過ぎるよ(8)

(……ここで疑問が出てきます)


 疑問?

 族長が険しい顔になったね。


(はい。魔族は年々魔力が減り身体も小さくなっています。それなのに、母体より強い魔力を持つ赤ん坊がなぜ産まれてくるのか……という事です)


 ……確かにそうだね。


(ですが、それはオレには……分かりませんでした。魂が関係して……いや、やはり分かりません)


 ……そう。

 賢い選択だよ。

 それはわたし達は知ったらいけない事みたいだから……


(……はい。オレは知ってはいけない真実を知って死にたくはないのです。痛いのが嫌いで……だから……ぺるみ様に痛くなく死ぬ方法を頼んだのです。意気地無しで恥ずかしいですが……)


 恥ずかしくなんてないよ?

 痛いのは誰でも嫌だからね。


(ぺるみ様……あの……それで、考えたのです。天族の醜い容姿で産まれた子は母親を守る為にその容姿になったのではないか……と)


 母親を守る為に?


(はい。身体と魂の強さが釣り合わなければ魂の無い子として死産になる。つまり母体には負担はかからない。ですが……何らかの形で魂と身体の釣り合いがとれていないのに身体に魂が入ってしまったら?)


 え?

 それって……

 母体が危ないっていう事?


(はい。だから……赤ん坊は無意識に母親を守ろうとして神力を母体に流し込んでしまうのではないでしょうか)


 神力を母体に?

 母親が命を落とさない為に?


(……そして……赤ん坊は神力を使いきり、闇の力を宿してしまう)


 ……!

 母親を守ろうとして闇の力を宿したから容姿が天族とは違ってしまう……?

 だったらすごくすごく優しい赤ちゃんだよ。


(本来ならば褒め称えられるべきなのに……容姿のせいで疎まれていたのだとしたら……これ程かわいそうな事はありません)


 ……何が事実かは誰にも分からないけど……もし族長の考えが真実だとしたら……

 そうじゃなくても……何が真実だとしても、何の罪もない赤ちゃんを傷つけていいはずがないよ。

 容姿が……持って産まれた力が他と違っても絶対に傷つけていいはずがない。


(あの子のような……オケアノスのような子を……これ以上増やしてはいけません。オケアノスは優しい子でした。誰よりも優しく誰よりも平和を愛していた。そして、タルタロスにいたあの二人も……熊太郎とお花ちゃんも、とても優しい子です。きっと魔族のような容姿で産まれてきた赤ん坊は心の優しい子達なのです)


 ……うん。

 わたしも……そう思うよ。

 皆すごくすごく優しいよね。

 タルタロスのコットスも優しかったし。

 

(真実がどうであれ、バニラちゃんにもベリアルにも熊太郎とお花ちゃんにも幸せになって欲しいです)


 わたしも……

 族長に同じように幸せになって欲しいよ?


(え……?)


 誰かの幸せを心から願える族長には誰よりも幸せになって欲しいよ。


(ぺるみ様……)


 これからはいっぱい話そう?

 皆が幸せに暮らしていけるように。


(……はい。オレ……ぺるみ様に出会えて良かった……)


 族長はずっと一人で抱え込んで辛かったね。

 これからは絶対に一人で苦しませたりなんてさせないからね。


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