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おいしい物は皆で食べるともっとおいしいよね

「おいしい……これが噂のクリームブリュレ?」

「本当にきんが乗っているわ?」

「すごい……まさかわたしがクリームブリュレを食べられるなんて」


 大声大会で一位になった、食べる事が大好きなジャックが優勝賞品のクリームブリュレを皆で一口ずつ食べようって言ってくれたんだよね。

 

「ジャックは優しいね。もし良かったら四位の景品の特別なマフィンを食べて?」


 わたしはいつでも食べられるからね。


「いいんですか? えへへ。ありがとうございます」


 ジャックがおいしそうにマフィンを食べ始めたね。


「どうしてクリームブリュレを皆に分けてあげたの? すごく楽しみにしていたのに」


「おいしい物は皆で分けた方が幸せですから」


「ふふ。ジャックは優しいんだね」


「オレには、兄弟がいっぱいいるんです。一番上の兄ちゃんはいつもおいしい物を皆に分けてくれて……独り占めする事もできるのに。だから、オレもこんな風になりたいなって思って」


「素敵なお兄さんだね」


「はい。自慢の兄ちゃんです。オレの家はかなり貧しい男爵家で……無理してアカデミーに入れてもらったんです。リリーさんの領地で食堂をする事も決まったし。これからは家族孝行できそうです」


「そっか……ジャックは幸せなんだね」


「はい! オレ……今日クリームブリュレを食べられて良かったです」


「……? どうして?」


「オレもそうだけど、クラスの皆もすごく幸せそうで……オレもいつかこんな風に皆を笑顔にできる食堂をしたいです」


「ジャックならできるよ」


「えへへ。はい。あの……ペリドット様……何か……事情があるんですよね?」


「え?」


「……黄金の国ニホンから出られなくなる事情があるんですよね? だから……陛下が王妃様を迎えたら国に帰って……もうリコリス王国には来られないんですよね?」


「……ジャック」


「オレ……ペリドット様だって気づかない振りをするから……だから……いつか……オレの食堂に食べに来てください」


「……ジャック?」


「オレが食堂を始めるのは陛下がシャムロックの王妹殿下と結婚した後だから……ペリドット様はもう黄金の国ニホンにずっといる事になるんですよね?」


「あぁ……うん。あと二か月したらアカデミーを辞めて、お兄様が結婚したらニホンからは出ないつもりだけど……」


「ニホンから出たら罰を受けるんですか?」


「え? そんな事はないよ? ただ……わたしはもうルゥじゃないから。ルゥとして亡くなったのに人間としてお兄様の側にいるのは変だから……」


「ペリドット様?」

 

「わたしは……神様に創られた身体のペリドットになったの。ペリドットのお母様は心から……ペリドットを喪った事に傷ついて……だから……お兄様が結婚して幸せになったら、今度こそ……親孝行しようと思うんだ」


 もうお母様に寂しい思いをさせたくないんだよ……


「親孝行……」


「だからニホンに閉じ込められたりはしないよ? 大好きな人と結婚して……大切な家族と幸せに暮らすの」


「そうですか……良かった……オレ、もしかしたらニホンは結婚したら国から出たらいけない決まりがあるのかと思って……」


「ジャック……いつか……こっそり食べに行くよ? ジャックの食堂でご飯を食べて、その後リリーちゃんのお店でプリンを食べるよ」


「はい……楽しみにしていてください。オレ……世界一おいしい食堂にしますから」


「うん。ジャック……泣かないで? まだ二か月一緒にいられるんだから」


 わたしまで涙が出てきたよ。

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