大声大会とクリームブリュレ(2)
「家族……そうかそうか。ヒヨコちゃんは家族が一番大事か」
おばあちゃんが嬉しそうに笑っているね。
「えへへ。うん! プリンよりもクレープよりも大好きだ!」
くぅぅ!
ベリアルは激かわだよ!
堪らないね。
「よし。じゃあ最後はわたしだね」
恥ずかしいからやりたくなかったけど言い出したのはわたしだし。
ふふふ。
もう叫ぶ言葉は決まっているんだよ。
「……お前……まさかとは思うけど……」
ベリアルが感づいたみたいだね。
阻止される前に早く叫ばないと……
「ふふふ。そのまさかだよ! ……すぅ。『ヒヨコちゃぁぁぁんっ!!』」
どうだ!
わたしのベリアルへの気持ちがこもっていたでしょ?
ベリアルも感動して……
ん?
「あれ? ヒヨコちゃんは嬉し過ぎてピンクになっちゃったのかな?」
「は? お前はバカなのか? オレは黄色いヒヨコだぞ?」
ん?
あれ?
ベリアルはそっちにいるの?
でも……
「「「きゃああぁぁぁぁぁあっ!」」」
え?
女の子達の悲鳴?
どうしたの……って!?
「嘘でしょ!?」
ピクニックをしている木陰に大量のヒヨコちゃんがいる!?
「かわいいっ!」
「ヒヨコ様のご家族ですか?」
「見て! すごく小さい子とか少し大きめの子もいるわ?」
「黄色だけじゃなくてピンクとか青い子もいるぞ」
クラスの皆は大量のヒヨコちゃんがかわいくて悲鳴をあげたんだね。
でも、どうしてこんな事に?
「やれやれ。ぺるみは神力が有り余ってるんだなぁ」
え?
おばあちゃん?
「まさか……これ、わたしがやったの!?」
どうやってやったのか全然分からないんだけど!?
というより……
「ぐふふ。パラダイスだよ。ヒヨコちゃんパラダイスだよ」
堪らないね。
幸せ過ぎてドキドキが止まらないよ!
って……
あれ?
ベリアルはどこ?
ヒヨコちゃん達がちょこちょこ動いてベリアルが見つからないよ!
ん?
ヒヨコちゃん達からギシギシ聞こえる?
「ベ……ヒヨコちゃん! 黄色いヒヨコちゃん!? どこにいるの!?」
「……」
返事がないよ!?
まさか……
かわいい女の子のヒヨコちゃんと仲良くなってわたしの声が聞こえないとか!?
絶対に見逃せないよっ!
どこ!?
どのヒヨコちゃんがベリアルなの!?
「ペリドット様……お顔が怖いですよ? どうかしましたか?」
前の席のジャック!
「大変なんだよ! ヒヨコちゃんが……いつもの超絶かわいい黄色いヒヨコちゃんがかわいい女の子のヒヨコちゃんとイチャイチャしているかもしれないんだよっ!」
「……え? そうなんですか?」
「さっきから呼んでいるのに返事がないんだよ。今頃かわいい女の子のヒヨコちゃんと……くぅぅ! 絶対に見逃せないよっ!」
「ははは! それで必死になってるんですね。うーん。確かに黄色いヒヨコ様が大量にいるからどの子がいつものヒヨコ様か見分けるのが難しいですね」
「ふふふ。それは簡単だよ。ほら、見て。いつものヒヨコちゃん以外の子は頭がつるんとしているんだよ」
あの超絶かわいい寝癖はベリアルだけにしかないからね。




