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大声大会とクリームブリュレ(1)

「うぅ……わたし……金貨十枚なんて持っていないよ」


 魔族も天族もお金なんて使わないから……


「では、わたしと商売を考えてみませんか?」


 ベリス王子……

 最初からそれが目的だったんじゃないの?

 二年待ちのクリームブリュレをキャンセルする人間なんているはずないし。

 もしかして、わたしと商売をする事が王太子になる為の試験とか?


「……いくら稼がせたいの?」


「ははは。とりあえずクリームブリュレの金貨十枚でいいのでは?」


「……今、とりあえずって言ったよね?」


「クリームブリュレの箱を開けてしまいましたからねぇ」


「……困った親子だよ」


「ははは。商売上手と言ってください」


「……まあ、こうなったのは仕方ないからね。……大声大会を始めようか。今日は暑いから食べ物が傷んだら大変だからね」


「では、後ほど商売について話し合いましょう」


 ベリス王子はご機嫌だね。

 本当に困った親子だよ……

 一体いくら稼がせたいのか……


「じゃあ、大声大会を始めるよ? 誰からいく?」


「ふふふ。オレからいきます! クリームブリュレ……絶対食べるぞ!」


 おぉ……

 食べる事が大好きなジャック……

 やる気満々だね。


「あはは。何て叫ぶの?」


「はい。それはもう決めてあります。では……『ヒヨコ様ああぁぁあ!』」


 ヒヨコ様!?

 ジャックはベリアルが大好きなんだね。


「おい……恥ずかしいだろ?」


 おお!

 ベリアルがイケメン風に照れているよ!

 ぐふふ。

 堪らないね。

 ツインテールが恥ずかしそうにフリフリ揺れているよ。


「よし。じゃあ次は?」


「はい! オレがやります。えへへ。どうしても叫びたい事があって……」


 前の席のジャックだね。

 ふふ。

 婚約者のリリーちゃんに何か叫ぶのかな?


「すぅ……『リリーさん大好きぃぃ!』」


 ……!

 やっぱり。

 ふふ。

 リリーちゃんが真っ赤になっているね。

 ジャックは、なかなかやるよ。

 女の子達が羨ましそうに二人を見つめているね。


「この後は、やりにくいな……」


 ベリアルが恥ずかしそうにしているね。

 照れるヒヨコちゃんも激かわだよ!


「ふふ。ヒヨコちゃんは何て叫ぶの?」


「ん? えへへ。一番好きな物だ」


「え? 一番好きな物? ……もしかして……わたし……とか? ぐふふ」


「……お前……頭大丈夫か?」


「常に正常だよ! ねぇねぇ。わたしの名前を叫ぶんだよね?」


「……本当にお前は困った奴だな。絶対違うぞ? ちなみにオレは二位を狙ってるんだ。ばあちゃんの特別なマフィンはオレの物だぞ!」


「ヒヨコちゃんはクリームブリュレよりおばあちゃんのマフィンの方がいいんだね」


「うん! クリームブリュレは前に食べたしな。ばあちゃんの特別なマフィンは今日しか食べられないだろ?」


「そうかそうか。ヒヨコちゃんは、ばあちゃんのマフィンがいいか。あはは!」


 おばあちゃんがすごく嬉しそうにしているね。


「よし、やるぞ? 『……家族っ!!』」


 え?

 家族?

 ……ベリアルは家族が一番大切なんだね。

 天界ではずっと一人だったみたいだし、今はバニラちゃんも吉田のおじいちゃんもおばあちゃんもいるから……

 もう寂しくなんてないね。

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