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練乳を飲みたい(2)

 ついにお父さんの誕生日の宴当日の朝。

 今は朝六時。

 宴は十一時からの予定だからあと五時間で第三地区を飾り付けして御馳走を作らないと。

 今日は忙しくなるね。

 お母様とヘラが手伝ってくれるって言ってくれたけど、大変な事になるのは分かりきっているからね。

 ヘスティアに、十時半まで天界に引き留めてもらうようにお願いしたんだ。

 さぁ、準備を頑張るよ!


 あれ?

 空から何か落ちてきているね。

 冥界からケルベロスが来たのかな?

 そういえば、お母様が言っていたよね。

 空に浮かぶ大きい島が三つに分かれていてその一番下が冥界だって。

 この前ケルベロスに抱っこされてジャンプした時、冥界の門の外側に着いたんだよね。

 ケルベロスの話だと、その抜け穴は誰でも出入りできるものじゃないらしい。

 よく分からないけど、今はその穴を通れるのはケルベロスとハデスとわたしとうさちゃんだけなんだって。

 遥か昔はその穴から罪を犯した天族をこの『人間と魔族の世界』に追放していたらしいんだけど……

 ハデスが冥王になってから色々変わったらしい。

 冥界の門がなんとかって言っていたけど、ケルベロスの三つの頭がそれぞれ話していたからよく聞き取れなかったんだよね。


「ペルセポネ様! ロールケーキのお皿を冥界にお忘れでしたよ?」


 ん?

 お皿?

 あぁ、昨日おばあちゃんが持たせてくれたお土産の……


「ありがとう。ケルベロス。今日はお客様がいっぱい来るからお皿が足りるか心配だったの」


「ペルセポネ様の為ならばこのくらい……あぁ……良い匂いだ……」


「ふふっ。ケルベロス、いいところに来たね。おばあちゃんのマフィンがちょうど焼き上がる頃だよ? 食べていって?」


「おばあ様のお菓子ですか? マフィン……? とは甘いんですか?」


「うん。生クリームもたっぷり乗せるね? おばあちゃんのマフィンは最高においしいんだよ?」


「そうだぞ? ばあちゃんのマフィンは最高なんだ。しっとりしてふんわり甘くて、ひとくち食べたら止まらないんだ! モグモグ。うまあぁぁい!」

 

 ベリアル……

 もう食べ始めていたんだね。

 くぅぅ!

 今日もかわいいよ!

 つむじは……

 うん。

 今日もちゃんとあるね。


「ベリアルは手伝いはしないのか?」


 ケルベロスは真面目だね。


「ん? オレは味見の手伝いだ!」


 味見の手伝い!?

 なんてかわいいヒヨコちゃんなの!?

 ちょっとうしろから吸わせてもらおうかな?

 一瞬だけ……

 無理矢理抱き上げて後頭部に吸いつく。

 フワフワで良い匂いがするよ!

 幸せ!


「うわあぁ! マフィンが喉に詰まるだろ!? いきなり吸うのはやめろよ!」


 かわいい!

 良い匂い!

 スーハースーハー……

 堪らないね!


「ええ? もう掴まえちゃったし。吸っちゃっているし。やめられないし。スーハー」


「この変態め! 離せ!」


「ふふふ。わたしが離すと思う? スーハー」


「うわあぁん!」


 あぁ……

 朝からベリアルを吸えるなんて……

 今日は良い日になりそうだね。

 スーハー……


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