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やっぱりわたしは皆から変態だと思われていたんだね

「ではではっ! 殿下達の国はどのような感じなんですか?」


 女の子達は王子達に夢中だね。

 瞳をキラキラさせているよ。


「そうですねぇ。わたしの国は国外向けの化粧品や衣類等を作っています。金の加工などもしていますよ? その関係で黄金の国ニホンとは仲良くさせていただいています。ちなみに『赤き殿下』は魔素が祓われた後に旅をしていたら偶然ニホンに辿り着いてぺるみ様と仲良くなったのですよ? あぁ、そうだ。わたしと『赤き殿下』は昔からの友なのです。『パール殿下』は元々お父上がぺるみ様と仲が良く、その関係でニホンに出入りしていたのですよ」


 おぉ……

 さすがベリス王子だね。

 話が上手いよ。

 イフリート王子とグリフォン王は嘘が苦手そうだから助かるよ。


「あの……殿下達もあと二か月でアカデミーを辞めるのですか?」


 女の子達も男の子達も残念そうにしているね。


「そうですねぇ。我々は王太子ですから。国に帰り民の為に学ばなければならない事が山積みなのですよ。ぺるみ様も結婚を控えていますし。黄金の国ニホンは……ぺるみ様は小国と言っていますがかなりの大国なのですよ? 王も人望があり国も豊かで……魔素も祓われて。地図に載らない我らの国はとても穏やかに幸せに暮らしています」


 ベリス王の言う通りだね。

 グリフォン王は王様になったけど今は父親である前グリフォン王が代理で王様をしているんだけどね……

 将来はこの三人が種族王になるんだね。

 そして、イフリート王が魔王になるのか。

 

「ペリドット様は、やっぱり結婚するんですね。あのすごくかっこいい騎士団長と」

「このクラスでは一番ですね……でも……一緒に卒業したかったです」


 かっこいい騎士団長?

 ああ、ハデスの事を騎士団長と勘違いしていたんだっけ。

 クラスの皆が悲しそうな顔になっているね。

 わたしまで悲しくなってきたよ。


「皆……ありがとう。わたし……嬉しいよ。アカデミーの初日に不安だったわたしに優しくしてくれて……本当にありがとう。『ドラゴンと暮らしている』なんて言って嘘つきだと思われても仕方なかったのに……」


「ペリドット様はまっすぐで嘘なんてつけませんから。オレ……残りの二か月……ペリドット様といっぱい思い出を作りたいです」


 ジャックが悲しそうにしているよ。

 うぅ……

 嘘ばかりついているから心が痛いよ……


「……わたしも。楽しい事をいっぱいしたいよ。皆との楽しい思い出をいっぱい作って『あの時は楽しかった』って……思い出したいよ」


 人間は長くは生きられないから……

 あっという間に……

 あぁ……

 悲しくなってきたよ。

 

「ペリドット様……じゃあ……笑いましょう。楽しい思い出の中に涙は必要ありませんから。ね?」


「ジャック……うん。ありがとう」


 わたしは……

 皆の記憶の中でどんな風に生き続けるのかな?

 陽気なモフモフ好き?

 ヒヨコちゃんに興奮して鼻血を出す変態?

 ……まずいんじゃない?

 このままだと絶対に変態として思い出される事になるよ。

 

「オレ……絶対にペリドット様の事を忘れません」


「……どんな風に?」


「え? 何がどんな風にですか?」


「だから……わたしが皆に思い出されるって、どんな風に?」


「え? それは……陽気なモフモフ好きで、ヒヨコ様に興奮して鼻血を出す……とか?」


 ……!

 やっぱり!


「うぅ……もっと違うのがいいよぉ。ほら、可憐で儚げな少女……みたいなのがいいよぉ」


「……!? 可憐で儚げな少女!? ペリドット様が!? あはは!」

「それは無理がありますよ!」

「ペリドット様は、ぐふぐふ言いながらヒヨコ様に吸いついて怒られているイメージしかないですよ?」


 ……!?

 やっぱり!?


「うぅ……今から変わるからぁ……可憐で儚げな少女っていう事にしてよぉ」


 ……でも、可憐で儚げってどうすればいいの?

 ベリアルを吸うのは我慢できないし……


「あはは! 無理無理!」

「我慢は身体に悪いですよ?」


 皆の中で、わたしは完全なる変態として定着しているんだね。

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