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王子達の呼び名決定!

 こうして、ぐったりして泣きそうになっているグリフォン王と一緒にクラスルームまで椅子と机を運ぶとクラスの女の子達がキラキラの瞳で王子達を見つめている。

 廊下にいた他のクラスの女の子達は先生にそれぞれのクラスに戻されたみたいだね。


「ペリドット様……あの……」


 女の子達が王子達に話しかけたくてソワソワしているよ。

 この世界の人間は身分が自分より高い相手には話しかけてもらえるまで話せない決まりがあるんだよね。


「あぁ……えっと……」


 王子達の紹介をしたいけど魔族の種族名で呼ぶ事もできないし……


「うーん……あのね? 前にも話したんだけど……魔素で閉ざされていたわたしの国は名前を他国に秘密にしているの。王子達も……そうなんだよ……ね?」


 しどろもどろになっちゃった。

 怪しかったかな?


「あぁ、そうなんですよ。我々の事はお好きにお呼びください」


 ベリス王子が女の子達に笑顔で話しかけると黄色い悲鳴が上がる。

 ……見た目だけはいいからね。

 簡単に騙されちゃっているよ。

 イフリート王子が呆れ顔で見ているね。


「では、では! 瞳の色でお呼びしてもよろしいですか?」

「キャー! 素敵っ!」


 ……女の子達が大興奮しているよ。

 男の子達は面白くないだろうね。

 って……あれ?

 男の子達は、泣きそうなグリフォン王を優しく慰めている?

 確かに守ってあげたくなる可憐なかわいさだけど……

 

「では、では! こちらのオレンジの髪で赤い瞳の殿下は『赤き殿下』はどうですか?」


 おお……

 赤き殿下?

 イフリート王子が恥ずかしそうにしているよ。


「それで……こちらの黒い髪に緋色の瞳の殿下は『緋色の殿下』ではどうですか?」


「ははは。素敵な名をありがとうございます」


 ベリス王子はずっとニコニコ作り笑いをしているね。

 

「じゃあ、このかわいい殿下はグレーの髪と瞳だから『グレーの殿下』かな?」


 男の子達がグリフォン王の名前を考えているね。


「うーん。なんか違うなぁ」

「もっとかわいい感じがいいんじゃないかな? うーん」

「何かないかなぁ?」


 かなり真剣に考えているね。

 グリフォン王は人間に囲まれてソワソワしているよ。

 ……守ってあげたくなるかわいさにも見えるけど、実際は食糧が大量に近づいてきているから食べないようにソワソワしているだけだったりして。


「アメリア様……何かいい案はないですかね?」


 ……男の子達はわたしには訊かないんだね。

 確かにわたしの名付けのセンスは良くないみたいだからね……


「そうね……確かブラックパールが美しいグレーに見えた事があったような……」


 さすがアメリアちゃんだね。

 すごく素敵だよ。


「ブラックパールかぁ……綺麗なんだろうなぁ」

「そうだなぁ。見た事がないからなぁ」

「じゃあパール殿下はどうだ?」

「いいな! それにしよう」


 ……男の子達はグリフォン王に夢中みたいだね。


「ははは。皆あっという間に仲良しになりましたね」


 前の席のジャックがベリアルを抱っこしながら笑っているね。

 

「そうだね」


「ペリドット様は昔から殿下達と仲が良かったんですか?」


「あぁ……そうでもないかなぁ」


 イフリート王子と初めて会った時は、幸せの島を燃やされたりして大変だったんだよね。


「え? そうなんですか? そういえば、戦があったって言っていましたよね」


「あぁ……えっと……うん」


 確かパパとママが出会った時が戦の最中で、ペリドットの父親がその戦で亡くなった事になっているんだよね。


「あ……ごめんなさい。辛い事を思い出させちゃって」


「え? あぁ、違うの。王子達とは関係のない国との戦だったから。えっと……仲良くなったのはこの一年くらいなの。たまにわたしの国に来てお話をしたりお菓子を食べたりしているの。ほら、それまでは魔素がかなり濃くてね……」


「そうだったんですか……魔素が消えてからは……ペリドット様も幸せに暮らせているんですよね?」


「うん。もちろん。心配してくれてありがとう」


 ジャックは本当に優しいね。 

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