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ヒヨコ様の交換ノート(3)

「……え? でも……もうペリドット様の事は『ヒヨコ様を変態的に愛する聖女様って書いちゃってあるし……」


 ジャック!?

 そんな事を書いていたの!?


「ええ!? そんな! 書き直せないかな?」

 

「うーん。ペンで書いてあるから……」


「これに懲りたらぺるみは少しまともになれよ?」


 ……ベリアルがため息をつきながら話しているね。

 でも、かわいすぎて我慢できないんだもん。


「あのさ……そのノートを見せて欲しいんだけど……」


 見るのが怖いけど……

 見ておかないと不安になっちゃうからね。


「え? はい。大丈夫ですよ?」


 どれどれ?

 うーん……


 今日は朝からペリドット様がヒヨコ様の後頭部の寝癖をハアハアしながら見つめている。

 ペリドット様が、昼過ぎにお昼寝するヒヨコ様をヨダレを垂らしながら見つめている。

 

 ……このノートは秘密裏に処分する必要がありそうだね。

 これ以上は怖くて見られないよ。


「……? ペリドット様? どうかしましたか?」


 ジャックが心配してくれているね。


「……あぁ。大丈夫だよ?」


 処分する事は絶対に言えないよ。


「ぺるみ……まさかと思うが……このノートをこっそり捨てようとしてないよな? 何かたくらんでる時の顔になってるぞ?」


 ……!

 さすがベリアルだよ。

 よく分かったね。


「そんな事しないよ! あは……あはは……」


 わざとらしくなっちゃった……


「そうですよ。ペリドット様はそんな酷い事はしませんよ」


 ジャック……

 ごめんね。

 後でこっそり処分させてもらうよ。


「……ジャックはぺるみの腹黒さを知らないからな」


 ベリアル!?

 とんでもない事を言い出したね。


「ペリドット様は優しくて楽しくて素敵ですから。腹黒くなんてないですよ。それにヒヨコ様の描いた絵を捨てられるはずありません」


 ベリアルが描いた絵?

 もう学長とジャックの絵を描き終えたの?


 ……!

 これは……


 大きい丸の顔に小さい丸の目と横に引かれた口が描いてある……  

 ベリアルのパンみたいな翼で描くとこうなるんだね。

 くぅぅ!

 かわいいよ!

 超絶かわいいよっ!

 堪らないね。

 

「……うわあ。またニヤニヤしてる……気持ち悪っ!」


 ベリアルが呆れているね。


「ぐふふ。かわいい……世界の宝だよ……」


「本当にそうですよ。このノートは世界の宝ですよっ!」


「さすがジャックだね! よく分かっているよ」


 でも……困ったね。

 このノートは処分しないといけないのに……

 ベリアルが描いた絵のページだけ取っておいて、あとは処分するとか?

 でも、捨てたりしたらジャックと学長に悪いよね。

 ……誰にも見つからない場所に隠すしかないかな。

 一番安全なのは冥界だね。

 ノートを盗むわけだし……

 幸せの島と天界は誰かに見つかる可能性が高いよね。

 冥界ならハデスもケルベロスも勝手に部屋を見るような事はしないはずだよ。

 

 ジャック……

 悪いね。

 わたしがアカデミーを辞める時……

 気づかれないようにこのノートは盗ませてもらうよ。


 聖女が、ど変態だったなんて……

 そんな記録を後世に残すわけにはいかないからね。

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