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前に向かって(4)

「そうだね。……わたし……お別れが嫌いなんだ。群馬ではお父さんともお母さんともおばあちゃんともお別れして……だから……もう誰かを失いたくなくて。でも、これはお別れじゃないから。お兄ちゃんと雪あんねぇとはお別れじゃないから……お兄ちゃん、ありがとう。いつもわたしを想ってくれてありがとう」

 

 ちゃんとお礼を言わないと……

 ずっとずっと大切に想って守ってくれたお兄ちゃんに。


「雪あん姉……いつもわたしに『ぺるみならできる』って言ってくれてありがとう。すごくすごく大好きだよ? 雪あん姉はわたしの目標で憧れの人だよ?」


「ぺるみ……強くなったな。……目標で憧れか。オレにとっても……ぺるみは目標で憧れだ」


 雪あん姉がいつも通りかっこよく笑っているけど……


「え? 雪あん姉?」


「ぺるみはいつもキラキラ輝いて、どんな強くてデカイ敵にも恐れずに立ち向かうすごい奴だ! だから、オレの憧れだ! あはは!」

 

 わたしが……?

 雪あん姉の憧れ?


「うぅっ。泣かないって決めていたのに……二人のおめでたい日だから……ごめんなさい……」


「ははは! 前にも言っただろ? ぺるみと一緒に泣いてくれる奴らの前で泣けってな。一人で泣いたらもっと辛くなるぞ? ここにいる奴らはぺるみと一緒に泣いてくれる奴らだ。だから……ぺるみはもう一人じゃねぇから。一緒に泣こう。泣いてスッキリしたら前に進もう」


「雪あん姉……うん。うん。ありがとう……わたし……もうひとりぼっちじゃないんだね」


 群馬でひとりぼっちだった月海は……ルゥになってペルセポネに戻って……

 こんなに賑やかな大家族になった。

 お父さんもおばあちゃんもいて、この世界に来てから知り合った魔族や、天族の家族。

 そして……


「ハデス……」


 わたしの最愛の人……


「ペルセポネ……?」


 ハデスがわたしを見つめている。

 もう二度と離れない。

 例え誰かに引き離されたとしても……

 記憶をなくして姿を変えて、名さえ変わっても……

 わたしはまた何度でもハデスと巡り会う……

 きっと……

 わたしとハデスの小指は赤い糸で繋がっているんだ。

 どんなに遠くに離れても、赤い糸が二人を引き寄せてくれる。


「ハデス……大好き……」


「……わたしも……ペルセポネを愛している……心から……」


 ハデスの顔がわたしの顔に近づいてくる。

 ハデスの口づけ……大好き……

 ん?

 何だろう?

 モフモフした何かが唇に……?


 目を開けると……

 おお……

 うさちゃんのかわいい前足がわたしとハデスの唇の間に入り込んでいる。


「ワルイムシガ、ツク、トコロダッタ」


 うさちゃん……?

 虫って何かな?


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