お父様との内緒話~後編~
「かなり危ない事? 何をしていたの?」
確かにヴォジャノーイ王だった時は、かなり恐れられていたみたいだけど……
「ハデスは天界を滅ぼそうとしていたみたいだよ……」
お父様……?
天界を滅ぼすって……
まさか、そんな。
いや……
「ハデスならやりかねないね」
「うん。空間移動できる道具を作ろうとしていたみたいなんだ。もし、ヴォジャノーイ族のハデスが天界に攻め込んで来ていたらと思うと……恐ろしいよ」
「本当にその通りだね。映像石か。そんなに貴重な物でわたしを撮るなんて……もったいないよ」
「そんな事無いよ! お父様だって映像石があれば同じ事をしたよ!?」
「……群馬でもずっとわたしを撮っていたよね?」
「えへへ。だって月海もルゥもペルセポネも皆かわいいんだもんっ! 一瞬だって見逃したくないんだもんっ!」
「……お父様の……そういうところ……好きだよ?」
「え? え!? 今、好きって言った!? うわあぁい! お父様もだあい好きだよ! えへへ」
「明日のお父さんの誕生日の宴までに仕事は終わりそう? 終わらないと宴に出られないんでしょ?」
「うん! ペルセポネに好きって言ってもらえたから頑張っちゃうよ! 星治も初めてかわいい娘にサプライズで祝ってもらえて喜ぶだろうね」
「もう、ばれているみたいだけど……明日は気づかなかった振りをしてくれると思うよ?」
「ペルセポネ……」
「ん? 何?」
「お父様の誕生日もお祝いしてくれる?」
「え? もちろん! でもお父様は神様だから天界で盛大に宴が開かれるよね?」
「あのね? 第三地区でも、やって欲しいんだよ」
「天界の宴とは別に?」
「うん。天界の宴は本当に心から祝ってくれている訳じゃないし。神だからってだけで行事みたいなものだからね」
「そうだね……心から祝ってもらえた方が嬉しいよね」
「うん! でね? サプライズって事でペルセポネから皆にお願いできないかな?」
「え? でも……それってサプライズじゃないよね? 主役自ら開催させるって……」
「だって、だってぇ! 星治が羨ましいんだもんっ! お願いぃぃ!」
あぁ……
お父様……
そんなに羨ましかったんだね。
「お父様……分かったよ。でも、お願いだから絶対に自分からお願いしたって、ばらさないでね? 自分からお願いしたサプライズパーティーなんてすごく恥ずかしいからね? 分かった?」
「やったぁ! うん! 約束だよ? えへへ。指切りしよっ?」
「もう……仕方ないなぁ」
「「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたらはーりせーんぼんのーます。指切った!」」
「ふふっ。群馬にいた時みたいだね」
「うん! ペルセポネはどんな姿でもお父様の宝物さんだよ!」
お父様のこういうところ……好きだな。
まっすぐ過ぎて進むべき道をよく間違えちゃうけど、悪気がないから憎めないんだよね。
群馬でやっていた事も全部わたしの為だったし。
いつも誰かの為に、後先考えずに行動するんだよね。
自分は傷つきながら……
ダメダメなお父様だけど、お母様もヘラもヘスティアも離れていかないのはこういうところに惹かれるからなのかな?
お父様の誕生日まではまだ日にちがあるから忘れないようにしないとね。