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オケアノスから語られた真実(4)

今回はオケアノス(バニラちゃん)が主役です。

 どうして?

 オレを知っているのか?

 オレを『おじいちゃん』と呼んだ……

 あの子に……

 千年以上前に亡くなったオレの娘にそっくりな女の子。

 銀の髪に青い瞳。


 愛おしい。


 この子には幸せになって欲しい。

 心からそう思った。


 ……だが、魔族の魔王を決める争いは日に日に酷くなっていき、ついにオレの家のある島にまで魔族が入り込んできた。

 そして、多くの魔族が島で死んだ。

 島は……

 娘や子孫達の大好きな白い花でいっぱいのオレの島は魔素に包まれた。


 ……オレはどうやら魔族ではなかったようだ。

 酷い魔素によりオレの身体はもう限界を迎えていた。

 オレは最後の力を振り絞り聖女に会いに行った。


『……おじいちゃん……わたし……もう生きていられないみたいなの』


 聖女はベットの上で悲しそうに微笑んでいた。


『おじいちゃん……生きていてくれて……ありがとう……ずっと伝えたかったの……おばあちゃんの……おばあちゃんの……おばあちゃんから……伝言だよ? あの時の花冠……ありがとうって……』


 ……!

 オレがあの時置いていったあの花冠……

 オレが会いに行った事を分かっていたのか。


『……おじいちゃん……わたしが……聖女になって……魔素を祓ったのは……おじいちゃんの為なの……もし……おじいちゃんが亡くなっていたら……浄化してあげたかったの』


 ……!

 オレの為に……


 それからすぐに聖女は亡くなった。


 オレは聖女の墓前に白い花で作った花冠を供えに行った。

 

『おじいちゃんも、すぐにそっちに行くから』


 そう伝える為に……

 だが…… 

 聖女はその墓には眠ってはいなかった。


 人間の四大国の愚かな王が聖女の亡骸をとある洞窟に保存したんだ。

 神官の神力で腐らなくして密かに蘇らせようとしているようだった。


 オレの子孫が埋葬もされずに放置されているなんて……

 

 オレは洞窟の場所を探し出すと聖女を埋葬する為に迎えに行った。

 棺を開けると……

 そこには美しい姿で眠るように亡くなる聖女がいた。


『……オレは……こんなに醜いのに……こんなに……美しい……あぁ……オレの……本当に……オレの子孫なのか……オレは……こんな化け物なのに……』


 ……待てよ?

 父親のあいつは魔族の姿になっているが、元の姿は翼が生えているはずだ。

 もしかしたら、魔族の身体に入ったり翼の生えた姿に戻ったりしているのかもしれない。

 あいつにできるならオレにもできるはずだ。


 オレは何とかして聖女を蘇らせようと考えた。

 オレが聖女の身体に入れば聖女を蘇らせる事ができるかもしれない。


 だが……

 何としてもやり方が分からなかった。

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