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オケアノスから語られた真実(2)

今回はオケアノス(バニラちゃん)が主役です。

 ウラノス……

 すぐに分かった。

 あの時の声の奴だと。


 こいつがオレの父親?

 まさか……

 確かに容姿は魔族だが……

 明らかに魔族でも人間でもない匂いがした。

 一体こいつは何者なんだ?


 そいつは、オレと一緒にこの島に住むようになった。

 オレはすぐに分かった。

 こいつにも心を聞く力があると……

 オレは絶対に心を聞かれないように心で思っている事と違う考えができるようになっていった。


 こいつはどうしてオレとずっと一緒にいたがるんだ?

 まさか……

 オレを殺しに来たのか?

 こいつはオレを心の中で化け物だと言ったんだ……


 だが、こいつはオレを攻撃するどころか、ただ共にに穏やかに暮らす事を望んでいた。 

 こいつの心の中はオレへの謝罪でいっぱいだった。


 ……オレは……こいつに捨てられたのか?

 こいつはオレの父親なのか?


 初めてこの世界で目覚めた時……

 あの時、父親と母親のいた奴はいなかった。

 皆あの時、初めて会って……

 でもオレだけが赤ん坊だった。


 オレはこいつの心を聞いてみる事にした。

 心の奥深くを覗いてみればきっと聞こえるはずだ。

 その日の夜、オレは寝ているそいつの心の奥深くを聞いた……


 こいつは産まれたばかりのオレを醜いからと捨てた?

 自分が子を捨てた事を正当化する為にこの世界を創って、人間を魔族の食糧にした?

 オレが人間を虐げる事で……その姿を見る事で、自分は正しかったんだと思う為だけにこの世界を創ったのか。

 そんな事の為に……

 オレは人間に虐げられ子孫は迫害され……あんな山奥に暮らしても見せしめに殺されそうになった?

 

 


 いっそ、殺せばよかったのに。




 産まれたばかりのオレを殺せばよかったのに。

 生かして苦しむ姿を見て喜んでいたのか?

 オレは……

 こんな奴の息子なのか?

 

『お願いよ。お願いだからこの子を捨てないで。この子はわたくしの宝なの。お願いよ……ウラノス……あなたの子なの……わたくしの子なの……』


 ……?

 女性の声……?

 母親……なのか?

 オレの母親……

 優しい声だ……

 オレを愛してくれているのか?

 いつか聞いたあの声と同じだった。

 確か……必ず助け出すからと言っていた。

 

 だが、いくら待っても母親は助けに来てはくれなかった。

 いや、違う……本当は気づいていたんだ。

 美しい真っ白い翼……

 美しい……この世の者とは思えない……

 あの女性がオレの母親?

 時々……遠くからオレを見つめているんだ。

 涙を流しながら……

 膝から崩れ落ちて『ごめんなさい』と呟くんだ……


 その木陰から出て来てオレを抱きしめて欲しい……


 だが……母親らしい女性はただ泣いているだけでオレに声をかける事すらしなかった。

 あと一歩……

 あと一歩だけオレに近づいてくれれば……

 醜いオレにはその女性に自ら近づく事はできなかった。

 

 この頃から……オレは自分を醜い化け物だと思うようになっていった。

 母親らしい女性のあの美しさ……

 あの女性からオレが産まれた?

 だから捨てられたんだ。

 オレが醜いから……

 オレが悪いから捨てられたんだ。

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