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勇気を出すって簡単なようですごく難しいよね(2)

「バニラちゃん? どうしたんだよ? じいちゃんもばあちゃんもどうしたんだよ?」


 事情を知らないベリアルが止めに入ったね。


「ベリアル……今は黙って聞いていようなぁ。ひいばあちゃんが抱っこしてやるからなぁ」


 ひいおばあちゃん……

 助かるよ。

 わたしは目を覚ましたうさちゃんを抱っこしているから。

 あ……

 ゲイザー族の一人が魔王城からお父さんを連れてきてくれたんだね。


 おじいちゃんとおばあちゃんはバニラちゃんが……オケアノスが話し始めるのを黙って待っているみたいだ。


「……はぁ。全てお見通しか。さすがは元神か……」


 オケアノスは二人の心を全て聞いたみたいだね。

 話し方も今までの陽気で優しい話し方とはまるで違っている。

 

 直接オケアノスの口から真実を……これからやろうとしている事を聞くのが怖いよ。

 でも……

 不思議だね。

 わたしがオケアノスでオケアノスがわたしだったからかな?

 オケアノスは……

 この世界を滅ぼすような事は絶対にしない。

 大切な家族が眠るこの世界を消し去るなんてできないはずだよ。


「オレは……お前達の想像通りペルセポネの神力を使いこの世界を天界ごと滅ぼそうとしていた」


 オレ……?

 滅ぼそうとしていた?

 過去形なんだね。


 ハデスもあまりに突然の出来事に立ち尽くしている。

 

 暴れださなくて良かった。

 うさちゃんを片腕で抱っこしてハデスと手を繋ぐ。

 

「お前達の目の前で溺愛するペルセポネを爆発させ、その姿を見て泣き叫ぶお前達を見たかった」


 ハデスの手が震えている。

 でも、黙って聞いてくれているね。


「だが……オレは……娘に似たペルセポネに……そんな事はできない……オレの娘……かわいい子」


 人間との間に産まれた子だよね?

 確か、すごくかわいがっていた女の子だったはず。


「オレは……自分が恐ろしかった。いつかペルセポネを傷つけてしまいそうで。だから、心の奥深くに潜り込んだ。それからは……ペルセポネが月海になり……ルゥになるまでオレは眠り続けた」


 そうだったんだね。


「だが……ルゥに話しかけた事でオレの魂が奥深くから引き出されてしまった」


 ルゥに話しかけた?

 いつの事?


「久々に目覚めると人間は、さらに悪になり知恵をつけていた。そして……ウラノスとガイアはルゥを溺愛していた。いや、違うな。オレはずっと魂の奥深くから見ていたんだ。ペルセポネの時も月海の時もルゥの時も……」


 ……ずっと見ていた?

 辛かったね。

 自分を捨てた両親が違う誰かを愛している姿なんて見たくなかったよね。


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