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勇気を出すって簡単なようですごく難しいよね(1)

 時が動き始めると、わたしは眠っているうさちゃんが入っているバスケットを持って、ハデスと冥界のケルベロスを迎えに行った。

 まだ、ハデス達に事情は話せないけど……

 どうしても、バニラちゃんの側にいたかったんだ。


 きっと……  

 酷く傷つくはずだから。

 わたしがバニラちゃんに内緒だって言われていた事を、おばあちゃんに話したから……

 ちゃんと謝らないと。


「ペルセポネ? 大丈夫か? 何があったのだ?」


 ハデスが心配そうにわたしを見つめている。


「ペルセポネ様、何か辛い事がありましたか?」

「オレが解決する! だから泣きそうな顔をやめてくれ」

「あぁ……心配です」


 ケルベロスの三つの頭も心配してくれているね。


「ありがとう。幸せの島に一緒に来て欲しいの。皆で幸せになる為に……」


 こうして、幸せの島に着くと天族の姿のおばあちゃんとおじいちゃんがバニラちゃんと話している。

 ベリアルとゴンザレスと……他のゲイザー族もいる。

 あれ?

 第三地区の何人かも来ているね。

 ひいおばあちゃん達も雪あんねぇもいる。

 幸せの島に住んでいるウェアウルフのお兄ちゃんとパパとママもいるね。


「……から……本当に……ごめんなさい」


 おばあちゃんの謝る声が聞こえてくる。

 もう、話したんだね。


「……」


 バニラちゃんは黙って聞いているみたいだ。


「あの時……遥か昔……この島で隠れてあなたを見ていたの……本当は連れ去ってしまいたかった。でも……そんな事をしたら……あなたの命を奪われてしまうのではないかと……本当にごめんなさい」


「……」


 バニラちゃんはずっと黙って聞いているね。


「わたしは……赦してくれなどとは言えない。全てわたしが悪かったのだ。わたしはどんな罰でも受ける……だが、他の誰かを巻き込まないで欲しい。自害しろと言うのなら今すぐにでもしよう……本当に……わたしは愚かだ……」


 吉田のおじいちゃんはすごく辛そうだよ。


「……」


 やっぱりバニラちゃんは黙って聞いているね。

 というよりは二人の心を聞いているのかもしれないね。


「オケアノス……ずっと……この名を呼びたかった。今さら母親だなんて思えないでしょうけれど……わたくしは……ずっと……愛しているの。信じられないでしょうね。今まで放っておいたくせに……本当に……ごめんなさい」


「オケアノス。愚かなわたしを罰してくれ……」


 おばあちゃんも吉田のおじいちゃんもオケアノスの名を呼べたんだね。


「……今さら……もう……遅い……」


 バニラちゃんが話し始めたね。

 怒っているような……

 悲しんでいるような……

 身体が小さく震えているよ。


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