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前に進もうとする気持ち

「もうこのブレスレットは必要ないわね」


 おばあちゃんがお花ちゃんと熊太郎のブレスレットを消したね。

 神力で創られた物だったんだね。


「おばあちゃん? そのブレスレットって、天族じゃない人が天界に行けるようになるブレスレット?」


「え? あぁ……ペルセポネはその事を知っていたのね。これはわたくしがお花ちゃんと熊太郎の為に創った物よ? 洞窟の隠し部屋から出ると心を聞かれてしまうから」


「そうだったんだね」


「……今は時が止まっているけれど……バニラちゃんは起きていたのかしら。あぁ……ベリアルとゲイザー族に絵本を読み聞かせていたようね」


「おばあちゃんも遠くを水晶無しで見られるの?」


「ふふ。そうよ? ……わたくし……今から行ってバニラちゃんと話してくるわ?」


「え!? 今から!?」


「どうしても、今すぐ抱きしめたくなったの……愛しているのよ。オケアノスを……」


「オケアノス? それがバニラちゃんの本当の名前なの?」


「そうよ? 卵の中にいる時にウラノスと決めたの」


「そっか、オケアノス……か」


「ペルセポネはそろそろ冥界に行かないと……すぐに止めた時を動かすわ? このまま行かなかったらケルベロスがかわいそうでしょう?」


「あぁ……うん。そうだけど……」


「わたくし達を心配しているのね? ではケルベロスを第三地区に連れてくればいいわ? ……いえ、幸せの島に……かしらね」


「おばあちゃん? どうして幸せの島なの?」


「……わたくしは意気地無しでね……遥か昔、オケアノスを離れた場所から見ている事しかできなかったの」


「……? それって?」


「今日こそ勇気を出すわ! ペルセポネに応援してもらったから頑張れそうよ。信じるわ……わたくしの愛しい子を……オケアノスは悪ではないわ。オケアノスは……優しい子なの。勇気を出せずに隠れているわたくしに気づいていながら……わたくしが話しかけるのをずっと待ってくれていたのね。ペルセポネがオケアノスにも心を聞く力があると教えてくれたから気づけたの。ありがとう」


「そうだったんだね……」


「では、オケアノスに会いに行ってくるわ。時を動かすわよ?」


 こうして、おばあちゃんと吉田のおじいちゃんはバニラちゃんに会いに行った。

 バニラちゃんの復讐……か。

 

 ……大丈夫。

 絶対にそんな事はないよ。

 バニラちゃんは絶対に復讐なんてしないよ。

 でも……

 赤ん坊の時に捨てられて……

 そんな事を赦してくれなんて言われて赦せるのかな?


 ……はぁ。

 心が痛いよ。

 おばあちゃんと吉田のおじいちゃんも大好きだし、バニラちゃんの事も大好きだから。

 皆が仲良くなんて無理だろうけど……

 

 この数千年間、皆が傷つきながら生きてきたんだ。

 おばあちゃんも吉田のおじいちゃんもバニラちゃんも、心が限界のはずだよ。

 どうか、これから始まる話し合いで皆の心が穏やかになりますように……

 

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