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後悔~前編~

「おばあちゃん、吉田のおじいちゃん」


 人間の姿になった二人に話しかけると……悲しそうな顔をしているね。

 おばあちゃんが、バニラちゃんの事をおじいちゃんに話したのかな?


「ぺるぺる……すまねぇなぁ。全部じいちゃんのせいだ……」


 おじいちゃんが悲しそうに謝ってきたね。


「おじいちゃん……そんな顔をしないで? 今は聖女を埋葬してあげよう? パパが綺麗に咲いたユリを用意してくれたの。お母様もすぐに来てくれるはずだから……そうしたらずっと咲き続ける桜の木を植えてもらおう?」


「ぺるぺる……そうだなぁ。聖女も喜ぶだろうなぁ」


「……おじいちゃん。苦しいんだね。全部自分のせいだって思っているんだね。でも……ごめん。上手く言葉にならないけど……わたしは……おじいちゃんが好きだよ?」


「ぺるぺる……」


「おじいちゃんが苦しむ姿を見るとわたしも苦しいよ。……おじいちゃんが笑っているとわたしも嬉しいの」


「……そうか、そうか」


 おじいちゃんに無理をさせて微笑ませちゃった。

 悪い事をしたよ……


「……ごめん」


「ぺるぺる……そんな顔をするな? ぺるぺるは笑ってる方がかわいいからなぁ」


「おじいちゃん……」


「聖女を埋葬しようなぁ。ずっと……このまま側に置きてぇけどなぁ……」


「……おじいちゃん? ルゥの身体を……このまま第三地区に眠らせておいてもいいのかな? わたし……おじいちゃんとバニラちゃんが聖女を埋葬するって決めた時……思ったの。ルゥも人間だった……だから……きちんと埋葬した方がいいんじゃないかって。魔族の『じいじ』の身体の隣にずっといて欲しいなんて……わたしのわがままなんじゃないかって……」


「ぺるぺる……そうだなぁ……難しいなぁ」


「わたしのせいでルゥは魔素を祓って……身体が限界を迎えて……それなのに、わたしはペルセポネの身体に戻って幸せに暮らしているなんて……わたし……本当に酷いよね」


「ぺるぺるがいなけりゃ、ルゥは死産だった。だから……そんな風に考えるな? それに、もしルゥが死産じゃなくて普通に魂があって生きて産まれていたとしても聖女である事に変わりはねぇからなぁ。魔素を祓って亡くなる未来は変えられなかったさ。……嫌な話だなぁ。皆を守る為に誰か一人が犠牲にならなきゃいけねぇなんてなぁ。でも……それも全部じいちゃんのせいだなぁ。じいちゃんがこの『人間と魔族の世界』を創ったんだからなぁ」


「おじいちゃん……」


「じいちゃんは絶対に忘れちゃいけねぇんだ。息子達を捨てて……この世界を創って……そのせいで聖女は……あの子の子孫は……腐っても埋葬してもらえなかった。じいちゃんはこれから先もずっと悩まなけりゃいけねぇんだ。自分の犯した愚かな罪を……赦しちゃいけねぇんだ」


 すごく辛そうに声を絞り出しているね……

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